第2章

第21話 冒険者登録

 早速二人してギルドに向かおうとしたが、よくよく考えるとシェリーは入門許可証が無いんだよね。

 許可証を発行して貰う為に、門番の所に一度顔を出す事にした。


 丁度この前のおっちゃんが居たので、事情を説明してシェリーの許可証を作って貰うようにお願いをしたが、奴隷から開放した事に大いに驚かれた。


 それと、盗賊討伐の件については事実確認が出来ていて、今は懸賞金の計算中との事だった。


「今から冒険者登録をしてくるので、それが終わったらまた来ますね」


 そう伝え、冒険者ギルド、通称ギルドに向かった。

 ギルドの建物は周りの建物と違い、立派な石作りの3階建てだ。


 1Fは入口付近に依頼の紙が貼り出されている掲示板がある。また、居酒屋が併設してあり、数人の冒険者が昼間から酒を飲んでいたり、食事をしている者の姿が見られた。そして中央付近に受付カウンターが有る。その奥は事務所となっており、複数の職員が業務を行っているが、女性の数が多い。

 今の時間はお昼近くという事もあり、丁度暇な時間帯のようだった。

 カウンターには4人の受付嬢が居たが、カウンターは全部で6つあるので、交代で休みに入っているのかな?しかし、皆美人だ。


 左から2番目のカウンターが丁度空いたので、そこに向かう。

 そのカウンターにいる受付嬢は、銀髪のセミロング、茶色の眼をした20才位のきりっとした美人さんだ。


「こんにちは」


 後30分もすれば正午になる時間であるので、そう声を掛けた。


「こんにちは。ようこそギルドにおいで下さいました。本日は当ギルドへどの様なご用件でしょうか?」


 営業スマイルがかわいらしく、優しい感じの声だ。

 ブラウスにベストの組み合わせが受付の制服のようだが、ボタンがちゃんと止まっていない。

 その為ついつい谷間に目が行ってしまったが、谷間が見えるような格好がわざとなのか、はたまたサイズが合わないのか分からないが、1つ言える事は、座っている女性を上から見る状態の為、その見事な双丘が作り出す谷間がちらっと見えた。凝視する訳にもいかず、一瞥するのに留めた。


 でかいと心の中で呟いたが、要件を伝えないとなので、その目を見て伝えた。


「はい、今日は冒険者登録をしようと思い参りました。私と連れの女性との2名でお願いしたいのですが、お願いしても宜しいでしょうか?」


 にこやかにお願いしたが、受付嬢は少し驚いた感じの表情をした。


「畏まりました。ではこちらの用紙にご記入ください」


 登録の為の申し込み用紙を2枚渡され、記入する項目を教えて貰ったが、必要なのは名前、年齢、得意武器と得意魔法だ。

 俺はこの世界の字については読み書きが出来ないので、記入についてはシェリーにお願いするしかなかった。記入している間に受付嬢と軽く雑談をしていたが、荒っぽい人が多い中、俺がした礼儀正しい受け答えに驚いたそうだ。

 

 対応してくれている受付嬢は、提出された用紙をチェックして満足そうに頷くと、身分証とステータスカードを出すように指示をしてきた。カードを渡すと、なにやら足元から出してきた直径10cm程のオーブをカウンターの上に置き、このオーブに手をかざすようにと言われ、交互にかざした。2人とも白く輝き、その結果に受付嬢は満足そうに頷くと、オーブを元の位置に戻していった。また、受付嬢が俺のステータスカードを見て驚いたようで、手をぷるぷると振るわせていたな。


 しかし、今確認した内容については特に問題がないとの事だった。また、登録に際して説明が必要か否かを聞かれたので、お願いする事にした。


 まず説明されたのは、冒険者ランクについてだ。F,E,D,C,B,A,S,SS,SSS の順で通常はFランクからのスタートとの事だ。

 貢献具合でランクアップして、ランクCで一度試験があるそうだ。

 色々な決まりを丁寧に説明してくれた(説明話で記述)。

 先日の盗賊討伐は、冒険者登録の前の事ではあるが、果たして貢献度の反映はしてもらえるのだろうか?と疑問が浮かんだ。


「盗賊を討伐したのですが、貢献度は付くのでしょうか?」


「あっ!ひょっとして例の・・・ちょっと待っていて下さいね。確認してまいります」


 一言いうと後ろに行ってしまった。彼女の後ろ姿を眺めていたが、脚が長くすらっとしているが、そのほっそりとした脚の魅力よりもスカートの長さの方が気になった。そう短いのだ。つまりミニスカなのだ。

 程なく戻って来て俺の横に立ち、何やら話そうとしていた。


「失礼いたしました」


 受付嬢が一言言った直後に、後方よりなにやら罵声が聞こえてきた。


「おい、てめえら!さっきから何やってんだよ。ここはガキの遊び場じゃねえんだぞ!」


 背後より下品な声がしてきたが、傍迷惑な五月蝿い奴らがいるんだな!喧嘩なら他所でやれば良いのにと思っていると、受付嬢さんが強ばった表情をしていた。

 万が一が有ると嫌なので、シェリーを俺の前に押し込んだ。すると


「おいてめえだよ、こら!さっきから無視してんじゃねえぞ!女連れだからっていい気になってんじゃねえ!」


 下卑た声がしてきた。多分俺の事なんだろうな、と思いつつ無視を決め込む。テンプレいらんと思っていると、受付嬢さんが震えながら後ろに指を指した。流石に無視も出来ず、振り向こうとしたら殴りかかられた。避ける事は出来たが大して強く無さそうだったし、避けたら隣に立っている受付嬢さんに当たってしまうので、庇うように向き合い、敢えて殴られる事を選んだ。わざと派手に吹き飛ばされて、食堂のテーブルに突っ込んだ。丁度4人組の冒険者が食事中だったが、食事もテーブルと同じで吹き飛んでしまった。飛ばされる方向を微調整して人に直接当たるのは何とか避けたが、よりによって食事中のテーブルの方に飛ばされてしまった。


 その場に居合わせた冒険者達がこの暴漢者を取り押さえた。

 大騒ぎになっていたが、巻き込まれた冒険者達が唸りながら立ち上がったが、怪我は無いようだった。


「私のラビちゃんが!」


 その中の一人が唸っていたが、転がっているホーンラビットの姿焼きを見て愕然としていたが、美人だがどうやら残念さんのようだった。

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