第59話 バリスタと、魔石除去と、犯人
研究所の入口に、ニオブの婚約者でサージの姪のバリスタが待ち構えていた。
「そうかお前がマイラをさらったのだな」
「良く分かったわね」
「マイラはニオブとサージに面識がある。呼び出されたとすればお前しかいないだろう」
「謎解きはもういいかしら」
「なぜマイラをさらった?」
「太陽火球に耐えたからよ。あれに耐えられるのは魔王が持つレベルの魔力量のはずよ。でも種は分かったわ。魔道具で魔力を増やしているのよね」
「そうだ。種が分かったのなら、マイラは用済みだろう。返せよ」
「ええ、私を倒せればね」
俺はスペルブックの付箋を指でつまんだ。
「やっぱり、そうくるのか【大電撃】」
「この特注の魔道具で相打ちにしてやる」
バリスタが魔道具を起動したが、何も起こらない。
「ぎゃいやー」
電撃が直撃した。
回復魔法を使ったのだろう。
無傷のバリスタが現れた。
「なぜ、魔道具が」
「ああ、それか。それは俺が作ったんだよ。俺がいると発動しない仕組みになっている。じゃあ死ね【大電撃】【大電撃】【大電撃】」
「ぎゃあぁぁぁ」
バリスタは灰になった。
馬鹿な奴だ。
俺の作った魔道具を切り札にしようとするなんてな。
性能は確かに超一級品だが、敵の作った道具を信用するからだ。
研究所に入るとマイラが縛られていた。
縄を解くと目を覚ます。
「痛い」
マイラがお腹を押さえる。
慌ててドレスをめくると黒い魔石がはまって癒着していた。
落ち着け俺。
マイラはまだ死んでない。
回復の魔道具と魔力アップの魔道具は起動している。
バリスタは調べた後に取り上げなかったのだな。
もっともマイラ専用に作ったから、他の人には使えない。
黒い魔石は癒着しているから出血はない。
魔石が体に悪影響を及ぼさなければ時間はある。
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
void main(void)
{
FILE *fpi,*fpo; /*体の定義*/
int i;
fpi=fopen("モンスチ.body","r"); /*マイラの体を読み込みモードで開く*/
fpo=fopen("temp","w"); /*仮の体を書き込みで開く*/
i=getc(fpi); /*体のデータを入力*/
while(i != EOF){ /*体のデータが終わるまでループ*/
if(i & STONE_FLAG !=0){ /*魔石か判定*/
i=0; /*魔石なら消す*/
}
putc(i,fpo); /*仮のデータを出力*/
i=getc(fpi); /*体のデータを入力*/
}
putc(i,fpo); /*仮のデータを出力*/
fclose(fpi); /*閉じる*/
fclose(fpo); /*閉じる*/
system("copy temp モンスチ.body"); /*出力した仮データを体に上書き*/
system("del temp"); /*仮データを消す*/
}
よし、これで良いはずだ。
魔法を実行した。
魔石のあった所にぽっかりと穴が開いた。
「痛い」
「少しの我慢だ」
回復魔法が掛かり穴が塞がった。
「もう平気」
「バリスタにはなんて言われた?」
「連続殺人犯を知っているから、外で会いましょうと」
「その後は分かる。薬でも使われたんだろ」
「ええ。それより聞いて。奥に連続殺人犯がいるわ。魔石を埋め込まれる時に激痛で意識が一瞬戻ったのよ。ニオブの顔だったわ」
「やっぱりな。意外でも何でもない。そんな気はずっとしてたんだ。でも俺の中の兄弟だという思いがそれを否定してたみたいだ」
そうなんだよな。
タイトの部分が、血のつながりがある人間が殺人鬼だなんて思いたくないと否定してた。
「タイトが殺しをためらっているのを感じたわ。学園では隙がかなりあったのに実行しなかった」
そうかもしれない。
学園で誰も見ていない瞬間に犯行に及んで、死骸を灰にするなり出来たのにな。
俺の甘さが被害者を沢山生んでしまった。
この決着は俺の手でつけないといけないな。
「決着をつけてくる」
「気を付けて」
マイラに抱き着かれて、ほっぺにキスされた。
なんとなく負けないような気がした。
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