第17話 後ろから攻められたい子
九重のキャンプ以来、僕は毎日同じ夢を見ていた。
それは九重山で、背後から“逆あすなら抱き”をしてきたクラスメイト。
植田 下子さんの微乳。
あの感覚が忘れられず、毎日悶々と考えているため、夢に出て来る。
『童貞くん、この前は背後から胸をおしつけてごめ~ん♪』
と言いながら、腰を屈める植田さん。
まだ成長の途中だが、胸の谷間が垣間見える。
真面目な女の子だと思っていたのに、なんてハレンチな子だ……。
「はっ!?」
毎朝、目を覚ます度、その誘惑に負けてしまいそうになる。
※
朝、登校時。階段を上っていると、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
「いてっ」
「あいた」
お互い、目を逸らしていたから仕方ない。
でも、一応謝っておこう。
「ごめんね……」
「ううん。こちらこそって、童貞くんだ。おはよう」
と微笑むのは、先ほどまで僕に胸を押しつけていた植田さんじゃないか。(夢の中)
上目遣いで微笑んでいる。
なんか、見透かされているような気がする。
「そ、その僕は……“使って”ないから!」
「え? 使う?」
(ヤバい。バカ正直に告白してしまった)
「と、とりあえず、またね!」
「うん。またね」
どうにか、誤魔化せた。
~掃除時間~
僕と植田さんは、同じ班だ。
しかし、クラス内で風邪が流行っており、担当している生徒たちは欠席が多かった。
そのため、校舎の渡り廊下を、僕と植田さんだけで、掃除することに。
長い渡り廊下を二人だけで、雑巾がけとは苦行でしかない。
でも、担任の美人先生は怒るとゲンコツしてくるから、やらないとダメだもんな。
植田さんがバケツに冷たい水を、いっぱい入れて持ってくる。
「童貞くん! 二人だけだから、さびしいけど。頑張ろうね♪」
「うん……」
「左は私がするから、反対の右側は、童貞くんに任せていいかな?」
「わかった」
お互い、一番端っこから雑巾がけを始める。
腰を下ろして四つん這いの状態で、左右に大きく拭き上げる。
地味にしんどいし、たまに渡り廊下を歩く生徒がいるので、その度に拭き直す。
(バカらしい……金をもらっても嫌な作業だ……)
と思っていたら、目の前に金より輝く代物が。
真っ白なパンティーだ。
植田さんたら、掃除に夢中でスカートの中を隠せていないんだ。
遠く離れている場所で、雑巾がけをしているとはいえ、見える。
いや、丸見えだ!
「はっ!?」
(まさか……植田さんたら、この前のことを引きずっているのか!? 奥手な僕に、後ろから攻めて欲しくて、スカートの中を見せつけているんだ!)
それからの僕は、素早かった。
車のワイパー並みに、高速の雑巾がけを行い、植田さんに少しでも近づくよう頑張る。
パンティーという、餌が良かったのだろう。
彼女の下半身を堪能したいがために、前へ、前へと進む。
~数分後~
あともう少しで、植田さんとドッキングするところで。
誰かが、僕の前に立ちはだかる。
「童貞っ!」
見上げると、担任の美人先生だった。
腰に手をやって、怒っているように見えた。
「え? なんすか?」
(もう邪魔だよ、先生。僕は早く植田さんを攻めてあげないと、ダメなのに)
「童貞! あんた、この廊下をひとりで掃除したの?」
「は?」
「偉いじゃん! 童貞、やるね~!」
なぜか、褒められてしまった。
僕はただ植田さんのパンティーを、近くで見たかっただけなのに。
先生の登場により、植田さんが立ち上がってしまう。
「あっ! ホントだ! すごい、童貞くん。私の分まで掃除してる! ありがとう~」
「え?」
振り返ると、必要以上の量を雑巾がけしていた。
僕としてはただ植田さんのヒップを、追いかけていただけなのに……。
「童貞くんって、やっぱり私が思っていた通り。真面目で良い人だね♪ 憧れちゃう!」
「いや、その……」
このあと、帰りのホームルームで先生と植田さんが、僕のことをみんなに褒めてくれた。
全く、僕が好きだからって。ここまでやらなくて良いのに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます