六月の雨

作者 根峯しゅうじ

9

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★★★ Excellent!!!

【物語は】
 主人公がある女生徒に声をかけられるところから展開していく。
 あらすじと物語の関係がとても巧く、こんな展開になるとは思わなかった。
 物語は主人公の抱える苦悩や想いについて描かれており、爽やかなラストへと繋がっていく。始終ハラハラしてしまい、とても巧い構成だなと感じた。
 あなたならどんな展開になると予想しながら読むのだろうか?

【主人公と二人の女性】
 人生とは不思議なもので、縁は奇跡であり必然なのだと思った。
 この物語では主に二人の女性が出てくるが、両方とも主人公に影響を与えている。

 恋は一人でも出来るが、恋愛は一人ではすることが出来ない。
 主人公は教師であり生徒からは恋愛経験を含む、性的な体験をしたことのない人物だというイメージを持たれているようだ。
 純情に見えるのか、お堅く見えるのかそこまでは分からない。
 しかし彼が理性的であるのは、自身の体験によるところが大きいようである。

【主人公の恋愛】
 人は自分の体験でしかものを語ることはできない。なので、一般的なイメージでしか書くことはできないが、主人公のようにちゃんと物事を受け止めることが出来る男性はそう多くはないのではないだろうか?
 例え手遅れでも、何を求められていたのか? 何が間違っていたのか気づけるというのは、相手をそれだけ想っているからに他ならない。
 その反省が活かせるなら、きっと素敵な恋が出来るに違いない。
 目を背けることなく自分自身と向き合うことが出来たのは、性格などもあるだろうし、焦っていたのはそれだけ好きだったからだともいえる。
 ただ、その想いに自分が鈍感だったのだろう。
 冷静になれていたならもっと多くのことに気づけたのかも知れないし、こんなことにはならなかったかもしれない。

【女性の持つ悩みや不安】
 この物語を読むと、男女のすれ違いの理由が一目瞭然である。… 続きを読む