第135話 復活のアウルム

「止まった‥‥‥? スキルが戻ってる!?」


 止めた剣をゆっくりと俺の手元に下ろす。


 うん、操作できる。

 うん、これはあの王子の剣だ。わかる。

 うん、形も変えられる。


 うん、鉄で出来た門もわかる。

 ミスリルマントも感じる。


「アウルム‥‥‥? もしかして?」

「あぁ!! 戻った! 戻ったよ!!」



「ギャオォーーーー!!」


 感動も束の間、耳をつん裂くような鳴き声。


 空に浮いて城壁越しに見てみると、やっぱりドラゴンだった。しかし何故復活しているんだ?


 兵士のものであったであろう、槍や剣も落ちていた。その近くには黒い粉の塊。


「一体何の騒ぎや!?」

「って、アウルム? 何で空に浮いてるん?」


 ハンジローとカエデが駆けつけてきた。

 さすがは一流冒険者だな。


「ハンジロー、カエデ、すまないが力を貸してくれ。ドラゴンが復活してる」


「「はぁ!!!?」」


 いや、そうなるよね。


「アウルム、スキル戻ったんか!?」

「そういう事。コレに乗れ」


 ハンジローとカエデには鉄球を薄い鉄板に変えて乗ってもらう。


 シルヴィアとアリスはいつも通り浮かせる。


「シルヴィアは東側、カエデは西側の屋根の上から魔法を使ってくれ。アリスはホレ、いつものやつ」


 ストレージから取り出した例の合金製の剣を取り出す。


「やっぱりコレじゃないとドラゴン退治にならないわね」


「ハンジローのは少しミスリルを足して長くする。使えそうか?」

「誰に言うとるんや。ワイは剣を選ばず、や」


「あのドラゴン、この間のとは少し違ってるわ。なんていうか呪われてるみたいな‥‥‥」

「アンデッドドラゴンになってはるわ。弱点は聖属性やな」


「聖属性‥‥‥、カエデ、使えるのか?」

「ウチを誰やと思てんの? 『聖炎』やで」


「シルヴィア、二人の剣に聖属性付与をしてくれ」

「えぇ? 一瞬しか使えないわよ」


「大丈夫、任せろ」


「やってみる。『セイントエンチャント』!」


 二人の剣に聖属性の紋様が浮かび上がる。

 俺はそれを見て剣に直接紋様を刻み込む。


「二人とも魔力を込めてみて」

「「ハァァ!!」」


 剣の内部から聖属性のオーラが湧き出る。

 成功だ。


「よし、コレで二人とも聖属性で攻撃出来るぞ」

「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥ま、言いたいたくさんあんねんけど、

後にしよか」


「三姉妹!! 出てこい!」

「「「お呼びで」」」


「アンデッドドラゴンにおまえたちの攻撃は有効か」

「いえ、あまり‥‥‥」


 だろうな、魔神器なんて種類なんじゃ闇属性だろう。アンデッドには相性が良くないはずだ。


「お前たちは撹乱だ。派手に動き回れ!」

「「「御意!」」」



 よし、再度ドラゴン討伐開始だ!!

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