第82話 救出
「まったくあの国は‥‥‥」
まずは公爵邸に向かう。
公爵邸入り口は閉鎖されていた。
判決が降るまでは保留というところだろうか?
まぁ、俺にはもう関係ない。上空から庭に着陸。ドアをノックすると出てきたのはミランダだった。
「はい‥‥‥、!! アウルムじゃないの!? 久しぶり、急に辞めたって‥‥‥」
「俺の事はいい、ブラス様とヒルダ様を助けに来た。どこにいるんだ? 侯爵邸か?」
「‥‥‥二人とも王城よ。おそらくは地下の牢獄でしょうね」
「ここにいるのは‥‥‥?」
「ここには私とハンニバルさんだけよ。他はみんな辞めて国外に逃げたわ」
「よう、アウルムじゃないか」
包帯だらけのハンニバルさんが奥から現れた。
「ハンニバルさん、その怪我は‥‥‥?」
「ブラス様を守ろうとしてな、多勢に無勢でこのザマさ‥‥‥」
「‥‥‥ブラス様を救出します。協力してくれませんか?」
「わかった。どうすれば良い?」
「二人とも一緒に来てください。みんなでまとまって避難しましょう」
「わかったわ。こんな事もあろうかと必要なものをまとめてあるわ」
「じゃあストレージに入れておこう」
「よし、じゃあ行くぞ」
ーーーーーーーーーーーー
王城の二階のテラスから入っていく。
衛兵はいたが、装備しているのが金属鎧だから吹き飛ばして気絶させる。気づかれてはいないだろう。
「こっちだ!」
ハンニバルさんは元王宮勤め、腕を買われてブラス様の護衛隊に引き抜かれたそうだ。王城の中は把握しているから迷わずに済むな。
一階に降りる。地下牢の階段はまた別にあるらしい。廊下を走る。
「侵入者だ!!」
見つかってしまったようだ。鉄球を飛ばす。
「ちっ!? 見つかったか‥‥‥」
「私とハンニバルさんで食い止め‥‥‥」
頭にジャストヒット。気を失った衛兵の手を後ろ手に針金で縛る。
「なに? 今の‥‥‥?」
「他言無用で頼むぞ‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
地下に降りようとすると牢番の兵二人が上がってきた。鉄の具足を持ち上げてひっくり返してやると、まるでコントのように見事な階段落ちを見せてくれた。まぁ、鍛えてるだろうしこの程度では死なないだろう。
「おい! 誰か知らないが助けてくれ!!」
「俺たち無実なんだ、信じて助けて!」
もう、面倒なので全部開けてやった。
囚われていた者達は喜んで走って出て行った。
公爵夫妻は一番奥にいた。
ハンニバルさんとミランダが駆け寄る。
「ブラス様! お迎えに上がりました!」
「ヒルダ様、ご無事でしょうか?」
「お前たち!! と、アウルム!? 何故ここに!?」
「おぉ、アウルム! 何が起きているのです?」
「説明は後で‥‥‥、とりあえず逃げましょう」
公爵夫妻の牢の鉄格子を引っぺがしてやる。
他の鉄格子もかき集め、ストレージの中の鉄も出して一つの鉄球にする。
階段を登るときに気絶してたはずの兵がヒルダ様の足を掴んだ。
「キャアー!!」
「この無礼者がっ!!」
ミランダが思い切り兵の顔面をサッカーボールキックした。うわぁ、痛そう。
一階廊下、鉄球を横倒しにした円柱状に変える。直径は天井の高さ、円柱の高さは廊下の幅。
つまり、ほぼ隙間無しの鉄の塊を転がす。
「な‥‥‥なんだ、あれは!!? とりあえず引き返せ!」
「急げ! 轢かれるぞ!」
先行させて俺たちは後ろを歩き、中庭まで到達。先程の円柱の一部を鉄板にして廊下に隙間なく貼り付ける。
残りは中庭に持ってきて四人乗りの舟に作り変える。
「さぁ、急いで乗って下さい」
「う‥‥‥浮いてる?」
ブラス様、ヒルダ様、ミランダ、ハンニバルさんと乗り込んだ。
よし、行くか。
「「わわっ!!」 浮いてる!? 飛んでる!?」
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