閑話 ご満悦の女性陣と本能 sideジェミニ
「ふんふんふん〜♫」
「・・・なんだか、ご満悦だね?」
ムスッとしたシュンくんが、鼻歌をしているミカにそんな事を言っている。
シュンくんがムスっとしているのは、バニースーツを無理やり着せられたから。
可愛かったわよ?
そして、ミカが浮ついているのは・・・気持ちは良く分かるわね。
おそらく、ミカは友人ができたのが嬉しいのでしょう。
向こうにいたあの頃、ミカには友人と呼べるのは、私だけだった。
類まれなる美貌を持ち、その上優秀、強さも段違い、圧倒的なカリスマ、それが向こうでのミカ・・・アルフェミニカだったの。
そんなアルフェミニカに言い寄る者は確かに多かったけれど、そのほとんどが利用しようとするものか、自己顕示欲から己のものとしようとする者、寝首をかこうとする者ばかり。
私と
アルフェミニカの心は、さぞ摩耗していたのでしょうね。
だから、純粋に仲良くできそうなミサキやミレイの存在は、とても嬉しいのでしょう。
「いや〜、これからみんなでどうやってシュンを甘やかしていこうかなって考えてててさ?」
「・・・お手柔らかに頼むね?」
「い・や☆」
・・・本当にご機嫌ね。
私も嬉しくなるわ。
親友のこんな姿を見られるだなんて。
「あれ?ジェミ姉もなんだか嬉しそうだね?」
「本当ですね。ジェミニもやはり、ミサキさんやミレイさんと仲良く出来るのは嬉しいですか?」
クォンとリリィがそんな風に私に話しかけてきた。
確かにそれもあるわね。
あの子達のシュンくんへの想いは本物だし、私達への感情も嬉しいものだし。
でも、違うのよ。
一番嬉しいのは、親友のミカが嬉しそうな事なの。
「ええ、そうよ。だって良い子じゃない?」
でも、言わない。
だって恥ずかしいもの。
「まぁ、そうだな。ボクもあの二人は本当に好ましいよ。」
ラピスがそんな私に気がつかずに同じように嬉しそうにそう言う。
ラピスにしても、クォンにしても、リリィにしても、あの子達のシュンくんへの想いは認めているのだから、当然よね。
それに、おそらくミカからのあの提案を、ミサキは受ける筈。
そうすれば、もっともっと楽しい毎日が味わえるようになるし。
後は・・・シュンくんを味わえれば最高なんだけど。
「・・・ね、ねぇ?なんでジェミニはボクをじ〜っと見て、よだれを垂らしてるの?」
あら、いけない。
シュンくんを警戒させちゃってるわ。
最近、ふとシュンくんをそんな風に見ることが増えてきている。
どうも、シュンくんの聖剣・・・性剣?を生で見てから、我慢ができなくなって来ている気がするのよね。
種族の・・・サキュバスとしての本能が、著しく刺激されているのが分かるわ。
とりあえず、誤魔化さなきゃ。
「それはね・・・シュンくんが美味しそうだからよ?」
「ジェミニ?ジェミニ?誤魔化せてないから。」
「あら?」
いけないいけない。
ついつい本音が。
ミカからのツッコミで我に帰る。
シュンくんを見ると、縮こまってガタガタと震えているわね。
・・・誘ってる?
「違うから。」
またミカにツッコまれちゃった。
ツッコむのはシュンくんの性剣が良いのに。
「・・・ねぇ、シュン?そろそろ考えないと、ジェミニが限界かもよ?」
ミカが呆れたようにそうシュンくんに告げる。
失礼ね。
まるで人を獣のように!
ただ本能に忠実になってるだけなのに!
・・・て、あら?
合ってる?
「・・・うう・・・ちょっと考えてみる。」
「「「「「!?」」」」」
え!?
本当!?
シュンくん、抱いてくれるの!?
みんながシュンくんを凝視している。
シュンくんはバツが悪そうな表情をしながら、こちらを見た。
「・・・だって、種族的な事もあるでしょ?多分、かなりジェミニに負担をかけていると思うんだよね・・・それに、僕だって・・・結構我慢がきついし、それに何より・・・みんなの事、好きだから・・・」
下を向きながら、モジモジしているシュンくん。
・・・はぁ・・・はぁ・・・♡
なんて美味しそうな・・・♡
「あ、でも、出来れば、来月・・・文化祭が終わるまで待てないかな?」
なんで!?
今からでも良くないかしら!?
今から!今からにしましょ♡
「なんで?」
ミカがシュンくんに聞いている。
でも、私の頭の中は既にピンクで一色となっている。
今から!今から!
「その・・・そういう事するなら、もう美咲さん達も無関係じゃないんだし、きちんと話し合って、それからにしたいんだ。それに、バタバタしてる最中じゃなくて、落ち着いてからにしたい。駄目?」
・・・そんなぁ。
でも、確かにその通りだわ。
私がミサキ達の立場なら、自分がいない所で、既に終わってたら、悔しくなると思うし。
・・・ああ、危ない。
少し冷静になれたわね。
それに・・・
「・・・あたしは良いわよ。何より、シュンが前向きに考えてくれているのが嬉しいから。」
「ええ、そうですね。わたくしも良いです。」
「勿論ボクもだ。いよいよか・・・」
「アタシもOK!たっのしみ〜!」
「ジェミニは?大丈夫?」
「ええ、勿論よ。」
心配そうに言うミカ。
ミカは、魔族の本能に抗うのがキツイ事を知ってるからね。
でも、大丈夫。
心配しないで。
こう見えて、ずっと我慢できていたんだから。
ゴールが見えたのなら、なんとかなるわ。
「その時は、遠慮しないから♡」
「はは・・・は・・・その・・・お手柔らかに・・・」
シュンくんが頬をひくつかせながらそう言った。
本当は、シュンくんだってはじめてだから怖いところもある筈。
でも、それでも、私やみんなの事を思って、敢えてそう口にしたのは分かってる。
自分の決意を形に残すために。
自分にこれ以上言い訳させて逃げない為に。
ありがとうシュンくん。
大好きよ♡
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