第28話 またしても学校がざわつきました
「さて、いよいよだね。」
「ええ。流石にちょっと緊張するわね。」
「大丈夫だよジェミ姉!アタシもミカもシューくんもいるしさ?」
「そうそう。安心してよジェミニ。ちゃんとやってあるから。」
・・・ちゃんとやってって・・・美嘉、また魔眼使ったんだね。
まぁ、僕もジェミニが一人で心細くしているのは心配だから、一緒のクラスの方が安心だけどさ。
一緒に学校まで歩いていると、段々と他の生徒が増えていく。
「・・・何あの子?すげー綺麗なんだけど・・・それに・・・」
「ああ・・・色々でっけぇ・・・」
「あれ、本当に高校生なのか?」
「綺麗・・・」
「外国の人だよね?肌の色から考えると、中東系なのかな?髪の色は黒いし。」
「一緒にいる人たちって・・・噂の人達だよね・・・また知り合いなのかな・・・?」
すっごく噂されてる・・・
まぁ、そうなるだろうなぁとは思ってたけどね。
クォンの時もそうだったしさ。
「・・・うふ♡」
「うわっ!?え!?ジェ、ジェミニ!?急に何!?」
「・・・別に?シュンくんに急に抱きつきたくなっちゃったのよ。」
なんで!?
「あっ!?ズルいジェミ姉!アタシも〜♡」
「クォンまで!?」
思い切り腕を抱え込まれちゃってる!?
色々ポヨンポヨンして・・・
そんな僕達を、美嘉は呆れたように見た後、ニヤッと笑った。
「・・・後で代わってよ?それにしても・・・ぷくく・・・シュン、真っ赤になってる・・・」
「美嘉!笑ってないで止めてよ!」
「え?なんで?ねぇジェミニ、クォン?」
「そうね。止めなくても良いわ。」
「そうそう!」
なんで〜〜〜〜〜!!
色々な人の視線に晒されながら学校に着いた。
昇降口でジェミニと別れる。
僕達は教室へ。
教室に着くと、またしても凄く凝視された。
・・・みんな気になってるんだね。
「お、おはよう・・・あ、あのさ・・・」
勇気を持ってか、恐る恐る僕達に話しかけて来た女子がいた。
「おはよ。」
「おっはよ!」
「おはよう。どうしたの?」
僕達が挨拶を返すと、その子は一度ごくりと喉を鳴らした後、意を決した様子で口を開いた。
「け、今朝登校中に見たんだけど・・・あの、外国の人は知り合いなの?」
やっぱりその事か。
「あ・・・」
「あの子は親友よ〜?あたしの幼馴染みなの。それと、外国の血は入ってるけど、外国人じゃないよ?」
僕が口を開きかえると、美嘉が被せるように答えた。
そう、ジェミニはハーフの日本人という事になった。
どこの血かは、知らないからわからない、という設定みたい。
「そ〜そ〜!アタシの従姉妹なんだよね〜!だから、どのクラスになっても、これからはアタシ達と一緒にいると思うよ?」
クォンが、にこやかに・・・なんか黒い笑顔に見えるけど、そうその子に大きな声で答えると、それを聞いていたらしい周囲の男子ががくりと肩を落とす様子が分かった。
「そ、そうなんだ・・・ありがと・・・」
聞いて来た子は、引きつったまま離れていく。
またしても現れた美人転校生が、また僕達の知り合いのようで、仲良くなるのには厳しいと思ったのかもね。
そして、HR。
「あ〜・・・新しい転校生を紹介する。入りなさい。」
「はい。」
教室に入って来て、教壇の横に立つジェミニ。
まわりはざわついている。
「綺麗」だとか、「可愛い」だとか聞こえてくる。
ぽ〜っと見惚れている人も・・・特に男子生徒に何人もいるみたいだ。
ジェミニも綺麗だからね。
「はじめまして。私は異世ジェミニと良います。そこにいる異世久遠の従姉妹で、桜咲さんの幼馴染みで、好きな人は二人と同じ瀬尾瞬くんです。よろしくお願いします。」
・・・ちょっと待って。
関係性をバラすのは良いけど、最後のは何!?
なんでそんな事言う必要があったの!?
周りからは、それを聞いた瞬間、ため息や机に突っ伏している人もいる。
すっごくざわついているし、中には、すすり泣く人もいた。
そんな男子に、隣の人がびっくりして、どうしたの!?って聞いてる。
「一目惚れしていきなりフラレた・・・」
・・・なんか可哀想なつぶやきが聞こえて来た。
グッ!!
美嘉とクォンをちらりと見ると、二人共いい笑顔で、親指立ててグッドサイン出してる。
そして、それに答えるジェミニも同じくする。
・・・ナニコレ?
なんなの?
「お〜い静かにしろ〜・・・ていうか、なんで俺のクラスばっかり転校生が来るんだ?同じ名字だし、従姉妹なら普通無いだろ・・・校長や教頭は何を考えてるんだ・・・」
ぶつぶつと呟いている担任の先生の言葉を、強化した耳が拾った。
・・・ごめんなさい先生。
それ、隣で親指立てていい笑顔の人のせいです。
「あ〜・・・異世の・・・」
「あ!先生!ジェミ姉はアタシの姉みたいなものだから、姉の方って呼んで下さい!」
クォンがそう叫ぶと、ジェミニも頷いた。
「そ、そうか?じゃあ、異世姉の席は・・・「あ、先生?少しお耳を・・・」・・・そうか。気心知れてる者の近くの方が良いな。瀬尾の前で。」
「え!?なんで!?先生、俺は!?」
「・・・移動してくれ。」
「・・・そんなぁ。」
「悪いな。だが、異世姉は転校してきたばかりで、心労が耐えないだろう。知り合いの側の方が安心だからな。」
「・・・はい。」
僕の前の男子生徒は、がくりと肩を落とし、席を移動している。
先生の言葉で、クラスの生徒の絶望は更に伝わって来た。
これで、ジェミニと仲良くなるのは、更に難しくなったからね。
だって、クォンと同じ様に、僕達の近くにいたら、僕達としか仲良くしないのは目に見えているから。
それにしても・・・ジェミニが先生の耳元で呟いた、『メンタルインターフェイス』・・・あれ、精神干渉系の魔法だよね?魔力漏れてたし。
その後の言葉、「・・・転校してきて心細いので、瀬尾くんの前にして下さい。」をそのまま受け入れさせていた。
先生も本来なら、前の席の人を移動させてまではしないだろうに・・・
「うふ♡シュンくん、ミカ、クォン、よろしくね?」
「ジェミニ、よろしく!」
「よろしくねジェミ姉!」
「うん、よろしくジェミニ。」
僕達の席の前で、笑顔を見せるジェミニ。
こうして、僕達の学生生活に、更に仲間が増えるのだった。
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