保護者の間でもいろいろ
ああそれで、羅美の担任についてだが、
『せいぜい派手に燃えてくれ』
と、正直、思う。
普段の自分の振る舞いが、こうやって自分に返ってくるということだ。でもまあ、羅美自身、今まさに『これまでの振る舞いが自分に返ってきてる』状態なのは事実ではある。担任にそんな風に言われるってのがそれこそ、
『これまでの羅美の印象がいかに悪かったか?』
って話だし。だから、学校も担任もあてにはしない。とにかく要らんことをしないでいてくれたらそれでいい。そう、
『余計なことをするな』
というだけのことだ。かけたくないんだろ? <余計な手間>を。だったら余計なことをするんじゃない。要らんことをしてそれで厄介事が大きくなるとか、それこそ自分で不幸を招いてるだけだからな。
『禁煙の場所で煙草を吸って面倒な奴に絡まれる』
とかも、
『吸っちゃいけない場所で煙草を吸うことさえ我慢できないような<我慢ができない奴>が自分で面倒を引き寄せてるだけ』
だろう? それと同じだ。
あと、
『交通法規を守らずに警察のご厄介になる』
ってのも、自分が面倒を引き寄せてるだけだよな。ほんのちょっとの我慢もできない自分が悪いってのによ。
そして改めて言うが、羅美も、要らんことをして、今、
『好きでもない男の子供を妊娠して大変な目に遭ってる』
わけだ。
「どうだ? 明日も行けそうか? 別に無理する必要はない。今すぐ辞めても、通信制の方に移るまで時間が空いちまうだけで、誰かが困るわけでもない。どうする?」
問い掛ける俺に、彼女は、
「行く……」
と応えた。とは言え、明日になればまた気が変わるかもしれないから、明日にも意思確認するさ。
しかし羅美は、翌日も、俺が出勤のために家を出た後で化粧だけはちゃんとして学校に行った。<戦化粧>としてやってるのならなおさらそれが必要なんだろうし、そのことは別にいい。
「羅美、何かあったらすぐに言えよ。大事なのは<報告><連絡><相談>だ。それを怠るとロクなことにならん」
家を出る間際にそう言った俺に、
「分かってるよ。うっさいなあ……」
少し拗ねたように応えた羅美の頭を、俺はそっと撫でたのだった。
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