16

 隆二に手首を掴まれたまま僕の手は自分のシャツのボタンの位置まで持ってこられる。

 自分で脱いでご覧ということなのだろう、少しだけ意地悪そうな視線を流されたけれど、僕は抗う理由がなかった。

 むしろ今、僕のほうが隆二と肌を合わせたい。けれどそれを口にする事はできなかった。

 僕は自分でゆっくりとシャツのボタンを上から外して行った。はだけた胸が外気に当たって鳥肌がたっている。

 体は彼を欲しがっているように自然と熱くなってくる。ボタンに手をかけ自ら一つづつ外してゆく。少しだけ手が震えた。

 前をはだける前に、俯くとシャツ越しに胸が固く突起していることに気づいた。


 どうしてこうすぐに反応しちゃう体なんだろう。


 隆二に気づかれたら恥ずかしい。僕は思わず目を伏せた。

 シャツをはだけようとした手が羞恥心で止まる。けれど隆二がすぐにシャツの中に手を入れてきた。

 一瞬冷たい感触がしてでも滑らかな彼の手のひら電流を発したみたいに気持ちいい。

 シャツがするりと脱げ両肩が外気にさらされた。隆二の両手が僕の背中を包み込むようにキツく抱き。僕は素直に彼の懐へはまりこんだ。

 両腕からシャツが離れ、僕のシャツは手の届かない所へ放り投げられてしまった。上半身は完全に無防備だ。

 隆二は僕の首筋を優しく愛撫したり時折キツく吸う。その柔らかな唇は火傷しそうに熱い。

 鎖骨をなぞると胸の突起のまわりを愛おしそうに巡る。

 右胸の突起を挟むように隆二の上唇と下唇が甘噛みするようについばんだ。

 一気に体の中心から快楽の熱がこみ上げて、ぼーっと熱に浮かされたような気持ちになる。


 隆二は僕の体に小さな火を灯し、小さな快楽が積み重なっていくことで、僕が次第に切なくなって、彼を欲して、甘い声で懇願したくなるまでずっと愛撫する。

 次第に彼の熱い吐息に混ざって柔らかな舌の感触を感じた時、僕は「あっ……」と小さく悲鳴をあげてしまった。

 水音がして僕の肌と隆二の舌が接触する度に僕の体の熱がぐっと上がって頬が蒸気した。

 でもダイレクトにくる下半身には触れてくれないのがどうにももどかしい気持ちになった。

 隆二が欲しくてたまらないと恥ずかしげもなく甘い声が出てしまうまで隆二はそれを繰り返す気だ。本当に意地悪な人だ。

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