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 家族になる君へ





「おめでとう~!!」


 某月某日某都内の小さなレストランにて。

 僕らはみんなに祝福されていた。


 みんなの前でなんてとても恥ずかしかったけれど、母親も上京するとあって、ちゃんとその儀式は見せるべきなのだろうかと随分悩んだ。


 僕らが会うきっかけになったドラマで知り合った瑠璃さんは今日のメイン司会者だ。

 珍しく男前な黒いスーツ姿で立っている。美形は何を着ても様になるなぁなんて僕は彼の男らしい姿にも感動していた。


 瑠璃さんはコホンと一つ咳をすると、まるで教会の神父さんのように語りだした。

「……良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、互いに想いあい、添うことを誓いますか?」


「はい。誓います」

 隆二が頷きます。


 続けて同じ文句を言われた僕も同じように頷きました。

「はい。誓います」


 芸能事務所に入ることになってそこで桐香さんに出会い、新しいドラマでは彰人くん、鶫くんとも出会った。

 最初は顔なじみのスタッフの人達と海倉監督の知り合いが経営する小さなレストランで囁かなお食事会ということだったのだけど。


「皆さん、お二人の上にみんなの祝福を願い、結婚の絆によって結ばれたこのお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう」


 僕は一番前の席にいる母親と姉の可憐の温かな視線を気にかけながら、隆二から指輪を受け取りました。彼が僕の指にはめてくれます。僕も彼の左手の薬指に結婚指輪をはめました。


 みんなの温かな視線と拍手に囲まれて、こんな風に心から好きな人と結ばれる日がくることを僕は本当に感謝しています。


 テーブルの上には華やかな花と色とりどりの料理が並んでいる。前菜やらローストビーフやら、小ぶりではあったけれどこのお店のマスター手作りのケーキもめっちゃ豪勢だ。

 お酒の量も種類も豊富だし、凄いと思った。


 隆二は「みんなは飲み会の機会を増やしたいだけなんだよ」って言っていたけど、なんだかんだで話づてに人が集まってきてしまった。

 僕らはあらたまってすることでもないしと最初は断ったのだけど、みんなの前できっちりと区切りをつけた方がいいって言われてしまった。

 お祝いしたいっていうみんなの気持ちを無碍にもできず、僕らはなんだか凄く照れくさくて。

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