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家に着いてもなんだか落ち着かない。なんか凄く変な感じ。
「守ちゃん元気そうでよかったわ~。全然連絡くれないもんだから、心配はしてたのよ~してただけだけどね~」
「ご、ごめん……。まぁ立っててもなんだからこっちにきて」
「うん!」
母はにっこり笑うと和室の方にきて、テーブルの前の座布団に座った。
僕はすぐに紅茶とお菓子の支度をして出した。
「どうぞ……」
「あら、可愛いティーカップ。美味しそうなお菓子~!」
互いに座布団に落ち着くと、なんだか凄く気まづくなっていた。
「二週間ほど前かしら~?! 可憐ちゃんから電話がきて、なんかあれこれ怒涛のごとく喋ってるのよ。半分何言ってるのかわからないから、何言ってるかわからないわ~って言ったらなんか会ってか詳細話すって言って電話切られちゃって。もう可憐ちゃんは昔から男らしいんだから。そしたら守ちゃんからお手紙ついてー」
「迷惑かけてごめん」
「迷惑~? 何が~?」
「あーいや、そのっ、なんか変な手紙送りつけちゃって……あれはね、酒の勢い」
「んーあーあれね。守ちゃんが物凄い貧乏な上に借金までして、私が送ったお米とか干物位しか食べ物がなくて、色々酷い目にあって、なんとかなったもののアルバイトがなかなか見つからなくてコンビニで働いている惨めなストーリー!」
「そんな手紙だった?」
「あー守ちゃんてば、隆二さんをすっごく愛しちゃったのよね! あれはちょっと手紙の最後の盛り上がり的には情熱的で興奮したわ!!」
隣で隆二さんが含んでいた紅茶をいきなり噴きだしむせった。
「隆二、だ、大丈夫?」
「お前、お母さんにどんな手紙書いたんだ?」
「いや、そんな情熱的な感じではなかった気がしたんだけど」
僕は気まづくなってそのままその場でお母さんに頭を下げた。
「ごめんなさい、お母さん、親不孝だと思ってます。でも、世の中には色々な愛の形があって……!」
「親不孝~? あら、このクッキー美味しいのね。どこのかしら?!」
「は?」
お母さんは僕の傍に置いてあるお菓子のクッキーの箱を催促した。僕が渡すと早速眺め回し始めた。
「守ちゃん、このクッキーどこの? 日本のじゃないのね。お茶請けに買って帰ろうかしら? ねね、どこの~?」
僕が目を点にしていると、隆二はもう一つあったお菓子の箱を母さんに渡した。
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