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「ベッド周りってあれだよね、本とか怪しいDVDとか隠さないと」

「ローションとかもまずいかも、人からもらったラベルにイラスト入りの

「うん」


 隆二と作戦会議をしていると、ふと、隆二が背後を見た。


「あれ、お姉さんは?」


 僕らは辺りを見回して可憐の行方を探した。あんなにデカイ女がふっと消えるなんてありえない。


「帰っちゃったんでしょうかね?」


 僕は呑気に言ったものの、隆二はすぐに察知して玄関のドアノブに手を掛けた。


 そういえばさっき、部屋の鍵開けちゃったんだ。


 隆二は咄嗟にドアを開く。僕が玄関を覗くと、可憐の靴が妙にきちんと置いてあった。


 僕らは顔を見合わすと、互いに不味いっと瞬時に察した。

 玄関から部屋の入口に靴を脱ぐのももどかしく、部屋に入っていった。

 リビングに可憐の姿がない。トイレにもお風呂にも姿はない。

 2LDKの若干広めのこのマンションはベッドルームとお客さん用の部屋、それからリビングとキッチン、洗面所にトイレとゆったりとした造りになっている。


 お客さん用の部屋は和室で普段ほとんど利用していない。リビングと繋がっていて普段は襖も開けてるから、そこに人がいないということは。

 僕らは嫌な予感しかしないまま、ベッドルームのドアを開けた。


 そこには可憐が気持ちよさそうにすやすやと寝ている。


「うあ……最悪」


 僕は目眩がして額に手の甲を当てた。可憐は吸い込まれるようにここに入ったかと思うとすぐに寝てしまったようだ。

 相変わらず寝つきのいい奴。たぶんこの部屋を散策するなんて前にベッドに倒れ込んで寝ちゃったんだ。


 早朝から静岡から東京に出てきたと言っていたから、疲れが溜まっていたのだろう。

 即座に寝入っていた可憐を尻目に僕らは見られてはまずいものをそっと片付けだした。


「しかし、驚いたな、まさか君のお姉さんがこういう人だなんて」

「ごめん、本当に何をするにもマイペースで、乱暴で、昔から僕と反対の性別だったらいいのにって近所の人からも言われちゃってたんだ。ちょっと迷惑かけちゃうかも」

「いや、なんだか今まで会ったことがない女性で、むしろさばけてていいよ」


 本を奥にしまい込みながら隆二は軽くウィンクすると、この状況をむしろ少し楽しんでいるようにも見えた。


「惚れちゃった?」

「ばか、なに言ってるんだ」

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