第83話 もはや呪文

 私の部署の隣は営業部である。

 当然、営業電話が聴こえてくる。

「このたび新商品の開発を…」

(致しましたので…じゃねぇか?)


 下書きでもあるのだろうが、この一連のやりとりを8時間、2週間聴いているのである。

「鬱るよ…滅入るんだよ…」

 もはや呪文か呪いである。

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