第二章:マーズ脱獄編

第九話   【エンザイ・プリズン】

トラックに二人。

アキは離れまで車を隠しに行ってくれてるらしい…

手慣れた手つきで車を走らせている

彼女には見えない引き出しがいくつあるのだろう?


かなりの距離を走ったような気がする。

俺はする事が無いので何度も欠伸を繰り返していた。


外を見ると海に綺麗な夕陽が写っていた、こんな景色が見れるのなら、スマホが一日無くても良いかもな…

でも写真は撮りたいからやっぱり早く取り戻そう。


そんな事を考えながら、冷たいガラスに顔をくっつけて目を閉じた。


心地よい揺れの中、目を閉じリラックスしていた俺を起こしたのは不快なサイレン音だった


ぼやけた目を擦る。


バックミラーにはパトカーを先頭に救急車と消防車が俺達を追いかけて来ていた。


「アキ!」


「今喋りかけないでください!!!」


「はぃ」


異世界に来てから寝起きにロクな目にあってない気がする。


「捕まっててください!!飛びます!」


訳もわからず身構えた時には車が宙に浮いていた。


綺麗な夕陽、沈むトラック、窓越しの海底撈陽、そんな景色はすぐ視界から消えて、車は自由落下する。








目が覚めた、生きている。

だが足を縛られている。

正直目を開けたくない、絶対にロクな場所じゃないだろう。

しょうがなく目を開けた、そこは牢獄だった。

最悪。


何故か常温の檻にもたれかかると、背中に違和感を感じた、まさぐってみると一枚の手紙が…

アキからだった。


ワタシハツカマッテイナイ、スキミテタスケル

スマホウバッテカラスグイク


アキだけ捕まって居ない。

逆に何であんな状態から逃げれたのだろうか?

まぁ、俺の体は擦り傷はあるが大きな怪我は無い。

アキの心配はいらないだろう。


刑務所の中ではワープなどの異動系呪文が使えなくなっているので、本当に彼女頼みだ。


…それにしても何処だろう。窓が無いので目星も付かない。


と、そこに看守らしき奴が通りかかる。


とりあえず何処か位は聞かなくては。


「すみませ…「お前が質問して良いのは3つまでと指示されている、業務を早く終わらせたいから、お前に許された質問回数は2回だ、わかったか!?わかったら早く返事をしろォ!」


「ヒッ…えっとまずここは何処ですか?それと何故僕はここに捕まってるんですか?」


…正直罪状は身に覚えが沢山ある。


「ここは火山帝国マーズ地下牢ヒガン房、そしてお前は、外患誘致罪の疑いで投獄されている。」


ん?

外患誘致罪?

聞いたことないぞ!?


「何ですかその罪ィ!?」


「黙れェ!質問は二つまでだァ!?死刑囚!!」


「はァァィイ!?死刑!?冤罪何ですけお!」


「テメーが、この国にテロを起こそうとしてるのは知ってるんだよォ!」


「わけわからないんですけお!!!!!!!!!!」


はやくたすけてアキ…


―――その頃アキは温泉で久しぶりの癒しに頬を緩ませていた。

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