家庭環境に恵まれなかった主人公が恋を知って幸せになる物語かと思いきや、そうきたか、という。
良い意味で期待を裏切られました。
丁寧な心理描写にグッと心を持っていかれます。
主人公が自分自身のことを卑下したままというのがとても辛かったですが、鬱々とするというよりは、色々と考えさせられる作品でした。
素晴らしい作品をありがとうございます。

このレビューは小説のネタバレを含みます。 全文を読む（245文字）

「告白」って愛しいと思っていた。「愛情」って尊いと思っていた。
しかし、それがそうではなく、心地よかった関係を壊してしまうものだとしたら、どうだろう。
そんな着眼点で描かれる、とある、愛情のはじまりとおわりの物語です。
……そうですね、「愛情」って、ときに重い。ときに身勝手。
DVなど「愛情」の名によっての暴力が発生するのも、考えてみれば、それゆえで。
読み終わったあと、安易に他人に「好きだよ」などほざいていた自分が、つい、薄ら寒くなる。
そんな快作（怪作？）です。