第一章~仲間との出会い~

第3話 1番目の仲間:サラ 1/2

ていうかさ、ボクがこのソフトがプレイできるハード持ってなかったら、どうするつもりだったのかな、あの人。


そう思いながらも、ボクは知らない人から貰った謎のゲームをプレイしてみることにした。


別に、期待していた訳じゃないんだけどさ。

『勇気が出せるようになるかもしれない』なんて。

ちょっとだけ。

ほんのちょっとだけ、気になっただけだ。

ほんとだよ!


パッケージの中には説明書も何にも入っていなくて、ただ、ディスクが入っているだけ。


なんて不親切なんだろう。

ペラ1枚でも、なんか説明書みたいなものは普通入っていると思うんだけど。

もしかしてこれ、中古品?

でも、今時のゲームは、プレイの中にチュートリアルが組み込まれているものがあるから、そんな感じなのかな?


不審に思いながらも、ハードにディスクをセットし、表示された画面のスタートを選択したとたん。

目の前が真っ暗になった。



「・・・・ってばっ!おいこら、いつまで寝てるんだっ!」


パシッ。


頭をひっぱたかれて、あまりの痛さに僕は目を覚ました。

目の前には、女の子の顔のド・アップが。


「わぁっ!」

「ぎゃっ!」


僕も驚いたけど、僕が驚いた事に彼女も相当驚いたらしい。

気付けば、僕が寝ているベッドの隣で、尻餅を付いている。

サラサラの金色の髪を肩あたりでパッツリ切りそろえたような、ボブ、っていうのかな?大きな目がクリクリしてる、可愛い感じの女の子。


・・・・あれ?

似たような人、ボク最近見たような?

でも、この子とは、会った事無いはずなんだけど。


そんな事をぼんやり思いながら女の子を見ていると、尻餅を付いていた女の子がようやく立ち上がる気配を見せた。


あっ、ちょっとパンツが見えそう。

でも、見えない。うーん、ちょっと、残念。


「いきなり大声出さないでくれるっ?!」

「あ・・・・ごめん」


なんとなく謝ってしまったけど。


・・・・ていうか、だれっ?

そんで。

ここ、どこっ?!


周りを見回してみれば、そこは全く記憶に無い場所。

記憶に無い、どころじゃなくて。

木の家に木のベッド。薄っぺらいマットレスに薄っぺらい布団。

ここ、どこの世界?!という感じ。少なくとも、僕が今生きて住んでいるはずの『日本』ではない気がする。

おまけに。

僕は薄汚れた薄っぺらい服しか着ていなくて、これだって僕の服なんかじゃない。


「あんたさ、よくこんなゲームなんかやる気になったね?あんたでしょ、勇気が出せないヘタレって。ヘタレのくせになんで、知らない人から貰ったこんな怪しいゲームなんてやる気になったの?ま、おかげであたしも何とかなりそうだけど」


パンパンッ、とお尻の部分を手で払った女の子は、呆れたような顔で僕を見ている。

その女の子が身に付けているのも、ぼんやりとした色の薄っぺらいワンピースだけだった。


せっかく可愛いのに、残念なことに、口は悪い。

そしてちょっと、怖い。なんだか怒っているみたい。



「とにかく。始めた以上は最後までやってよね。じゃないとあたし・・・・」

「ねぇ、キミ、誰?」

「はぁっ?!」


素っ頓狂な声を上げて、女の子は目を丸くした。

でも、そんなに驚かれたって、知らないものは、知らないし。


「説明書っ!読まなかったのっ?!」

「付いてなかったし」

「ええっ?!じゃ、あんた何にも知らないのっ?!」

「タイトルだけは、知ってるけど」

「このゲームの目的とか、出会う仲間とかの事は?」

「・・・・知らない」

「はぁ・・・・あんのクソババァ・・・・」


女の子がそう言ったとたん。

信じられないことに、突然まばゆい光が女の子の体を包んだ。

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