あらすじ:『源氏物語』の登場人物のひとり弘徽殿女御(こきでんのにょうご)がハプスブルク家の『女帝』マリア・テレジアに転生します。宿敵フランスや新興国プロイセンとの戦いに勝利するため幼女の頃から準備を進め運命を変えるために奔走する物語です。
おすすめポイント①:複雑でわかりにくいハプスブルク家や周辺国の歴史や登場人物がわかりやすく詳細に描写されています。要所で登場人物紹介や用語解説もあり歴史が苦手な方でも読み進められるでしょう。
おすすめポイント②:マリアや取り巻く人々の日常風景が面白い。明るく前向きなマリアや家族を愛するカール6世、美人の母親、優秀な夫フランツ、ハンガリーの貴族たちの人間模様が生き生きと描かれています。
おすすめポイント③:架空戦記としての変化が楽しめる。歴史にある程度知識のある方でも史実がどのように変化していくのか、先の読めない展開が楽しめるでしょう。特に将来のライバル、フリードリヒ2世との関係性は面白いです!
以上の点からこの作品を強くお勧めします。皆さんもぜひ読んでみてくださいね!!
タイトルにある通り、平安から現代に転移した女性主人公が、今度はハプスブルク家を盛り立てた女性、マリア・テレジアに転生して大活躍するお話です。
概要としては、転生したマリア・テレジア(改)が現代の知識を容赦無く持ち込んで、ウィーンのために働きます。
打倒プロイセン、打倒ポテチ王子を合言葉(?)に、個性豊かな(史実)周囲の人間を巻き込み、コメディ調で話が進むのですが。
本人は勉強家で、当世の知識もちゃんと沢山学んでいきます。
主人公以外でも、楽しすぎる登場人物達が、毎回毎回どんちゃん騒ぎのようにお話を盛り上げます。
ちょっとした会話のやり取りの、言い回しの一つ一つが面白いんですよね。
固有名詞は多いのですが、そこもあんまり気にならずに読めると申しましょうか。
歴史物はちょっと苦手という方でも、ストーリーを追っかけるだけで十分楽しめる作風です。
もちろん作品の下地には、この時代に対する深い造詣がありまして、歴史や慣習、流行などを間違いなく捉えています。
作品を面白くするのは、その舞台に対するしっかりとした知識なのだと、改めて思いました。
素地がちゃんとしているからこそ、毎度の大騒ぎが笑えるものになると言いましょうか。
歴史好きな方もそうでない方も、それぞれ別の視点で楽しめる作品でした。
マリー・アントワネットの母として有名な女傑マリア・テレジアに転生する物語です。負けず嫌いな主人公が幼少期から歴史を改変する戦記物ではあるのですが、この時代の欧州の華やかなファッションや風俗が丁寧に描写されていて、作品の中に入り込んでいくような感覚が味わえます。ある時はカフェでザッハトルテを食べたり、ある時は宮殿でオリオスープ(検索して豪華さに驚きました)を飲んだりといった細部も楽しめます。物語が進むにつれ歴史が改変された驚きの展開になっていきます。果たしてどこまで変わってゆくのでしょうか? 是非ご一読ください。
マリーアントワネットの母であり、「欧州の祖母」といわれる女性がいます。
その名はマリア・テレジア――オーストリア、ハプスブルク帝国の女帝。
その数奇な人生は、異国のためか、この国ではあまり知られていません。
そんな人に転生してしまったら、どうしよう!?
――というのが、このお話です(強引ですみません^^;
実際には主人公の言葉や地の文で「どうなっているか」「これからどうなるか」が触れられていますので、そう堅くならずに、構えずに読めます。
そして楽しいです。
歴史ファンとしては、やがては「欧州の祖母」として、ヴィクトリア女王(ホームズの時代の英国女王)、アリエノール・ダキテーヌ(リチャード獅子心王の母)と並び称せられる女帝に、主人公がどう「成って」ゆくのか、あるいは越えていくのか、その辺りが楽しみですね。
ちなみにその「転生した人」というのが、作者様の別の作品の人というのが面白いです(その別の作品を見てなくても大丈夫です)。
ぜひ、ご一読を。