第28話:社会は何を求めるのか ①
現在の社会において人材育成の柱となる部分が曖昧になりつつある。
これは、以前から言われてきたことだが、学習機会が家庭の経済状況に左右される事はあってはならないし、成績という形で評価することも一部疑問に思うことがある。
その理由として“100人の子供が同じ事を学んだとしても100通りの答えを出せるようにならないと意味がない”と思っているからだ。
今は“この問題の答えは○○”のようにあらかじめ決められた公式や答えを正解として教えるため、子供たちが別の公式を使っても正解にならないケースが多い。
そのため、1つの答えを子供たちに無理矢理教えることで「この問題の答えはこれしかない」と信じ込ませてしまうことになる。特に国語の文章題や引用して解答する問題などは答えがあったとしても違う部分を抜き出していたなら“なぜ,この部分をこの子は抜き出したのか?”と考え、返却時にその子に“すごいところに着目しましたね。理由を後で先生に教えてください”と入れることで子供たちは“間違っていたけど、先生が自分の見ていたところを褒めてくれた”と思えるようになる。そして、そういう1つの積み重ねが子供たちの学習態度や問題解決力を伸ばすことに役立ち、間違っていたとしても正しい答えを知る事で勉強に対してネガティブな気持ちになる事を防ぐことが出来る。そして、“良い成績を取りたい”という子供にとっては決められたことに忠実に学んでいくことが大事だが、多くの子供たちは学習済みの範囲であることもしばしばであることから決められた答え以上の物を出せる学力が備わっていることもある。
今の社会において“脱・学歴社会”と言われているが、実際には企業に就職する際にはかなりの割合で学歴などが影響している事は周知の事実だろう。そして、どれだけ帰属意識が高いかも重要なポイントとして挙げられている。
日本という社会は“学歴”や“定型人材”(帰属意識が高く、協調性など集団に必要な価値観を持っている人を指す)を求める傾向にある。そのため、新卒採用したとしても年次毎にその人材が自分たちに必要な人材かを見極めることもしばしばで、そこで“戦力外”と判断されると今度は不当解雇など会社側の有利になる方法で人員整理を行い、空いた枠を埋めるための採用活動をして人材不足を回避しようとするのだ。
しかし、企業側と求職者側の求める能力に隔たりがあることや求める人物像の理想が高すぎて人が集まらない・求めている人材に出会えないというケースも増えている。
そこで企業が求めている事を分析したところ一番重要視しているのは“協調性の高い人材”で次に“同調しやすい人材”であると収集した情報からは読み取れた。
ただ、これは表面的な見解で裏面的な見解だと“学歴”やブランド力“など社会にどれだけインパクトを与えられる人材を確保出来るかなど表には決して見せない意図が隠れている。
そもそも、日本において求められる事は“能力”や“個性”を活用して生み出した個人の利益よりも“製品”や“人材”にフォーカスしてしまい、会社など組織の利益を求める傾向にあり、これらの考え方により個人が作った企画書であっても最終的には企業側に諸権利を持って行かれることになる。
この構図はどこかで見たことがある構図だろう。そう。幼少期から“受験”や“順位”など相手が求めることに自分が応えられる人になるために必要な考え方と似ているのではないだろうか?
この2つの共通点として親などから常に良い成績を求められる、順位を求められることは社会に出たときに上を目指さなくてはいけないという向上心を育てる意味でもあるだろう。そして、受験をして進学校に入学する場合にも相手から求められる事が明確になっているため、双方の意識共有がスムーズに行えるのだ。
確かに、社会に出て会社などの組織に入ると営業成績や業務成績など1人1人を“評価”して、その評価に見合った“結果”を求められる。特に営業などの外部の企業との交渉をする人や企画・開発など取引先や個人に対して商品を提供する立場にある場合には会社の心臓部でもあることから優秀な人材が多い企業ほどこの部分が人事評価や勤務評価などに繋がりやすく、これらの評価がボーナスや手当などの増減に影響することもあるのだ。
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