第21話

「『召喚・緑』」によって狩人の1人をこの場に出現させた。


ローブの男の前方には背中を見せて逃げる探索者。更に離れて巡回している狩人が1人。

すぐ後方には探求者と狩人が1人ずつ。


すぐに戦闘参加出来るのは3人。


とりあえずは・・・・・・

「『強化付与ブーステッド』」

「『霞切り』」

自分以外に魔力を与えて身体能力を底上げする。同時に狩人の間でも初手の定石とも言える『速さ』を重視した剣を振るう。


今回は怪物相手ではなく、人間が相手。怪物と違って貧弱な人間は手足を斬られるだけでも戦闘能力は落ちる。

怪物ならば持ち前の生命力で持ち直す傷でも人間には致命傷であることもある。



魔力を奪われるならば強化付与の分奪い尽くすのに時間がかかる。僅かな時間でも稼げれば元々の霞切りを受けて、それからの戦闘に支障が出るのに十分な傷を受ける。


故に、ローブの男が取れる手段は多くない。

回避か、受けるか。


ローブの男も一瞬にも満たない逡巡を見せ、回避を選択した。



「『影縫い』!」

片方に集中すれば片方から攻撃がくる。どちらを受けることも出来ない。


「闇の炎よ、はじけよ!」

焦りを見せたローブの男が焦った声で対処しようとする。


「水の精霊たちよ。闇纏う者を射抜け。集い、束ねて牙と拳の威を取れ。『剣陣乱打』」


黒い衝撃波で狩人の身体と影縫いのナイフが吹き飛ばされた直後、ローブの男に殺到する氷の剣と拳大の氷塊。斬られ殴られ凍える、凶悪な水系攻撃魔法。



発見から一連の移動と攻防の結果として、ローブの男はローブをなくし凍傷に裂傷、数え切れないほどの打撲を与えた。狩人は衝撃波を受けて吹き飛ばされただけ。探索者は弾かれたナイフを再度手に構えて、探求者はほくそ笑んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る