アーニャさんとのお話
あの眼福というかなんとも言えない素晴らしい景色を見てしまい、その後、悶々としながらもなんとかアイカさん以外の人に気づかせずその日を終えることができた………と、思う。
ありがとうユキ、ファム、おかげでなんとか意識しないように誤魔化せた。
そして次の日の朝になり目覚めた皆で朝食を食べているのだが………なんか視線を感じるような気がするんだよね………
チラリと見てみるとそこにはやはりと言うべきかこちらに視線を向けているアイカさんの姿が。
ただ昨日の一件以来特に変わった様子はないんだけど………
まあ、いいや。
害は無いしそもそもの話アイカさんが俺を見ているのは昨日の一件だろうからな。
「………」ジーー
「………」ジーーッ
「………」ジィーー
「………」ジィイイーー
………うん。
前言撤回するわ。
めっちゃこっちを見てるよこれ。
しかもずっと。
めちゃくちゃしっかりと。
エスカリアさん達も少し不思議そうに俺の方を見てるし………
だけど俺がアイカさんの方に目を向けると少し顔を赤らめている。
「………あの、アイカさん?」
「はい。なんでしょうか?」
「……どうかしましたか?」
「いえ。なんでもありませんが?」
はぁ………これはあれかな?
「………何か言いたいことがあるのでは?」
「………別に何も?」
「………そうですか………」
………嘘つけぇぇぇぇええ!!
絶対なにかあるでしょ!?
何も無いわけがないじゃん!?
だってさっき俺が声を持ずぅっとこっちを見てたんだよ!?
絶対におかしいってばぁああ!!!
「アーニャ、アイカさんとソラさんになにかあったのかしら?」
「………いえ、なにもなかったはずですよ………」
………ん?
今一瞬だけアーニャさんの表情が変わった様な?
………でもすぐにいつも通りの無表情に戻ったしな………
「う~んなにか嫌な予感が………」
「………確かに………」
「どうする?」
「放っておくのが一番 じゃないかな~」
「それもそうだな。変に関わるのは良くない気がするし」
………あれ?
もしかして俺達放置することに決まったりする?
とりあえずその後、俺はアイカさんや他の皆の視線をひたすら受け続けながら食事を終えたのだった。
なんかおかしくない?
「ソラ様、少々お時間いただいてもよろしいですか?」
「………はい」
現在俺は何故かアーニャさんと一緒にいる。
そしてなぜかアーニャさんとエスカリアさんの部屋にいる。
現在、エスカリアさんは陽介達と一緒にいるためここには俺とアーニャさんしかいない。
「それで話とは?」
「はい。実はソラ様に聞きたいことがありまして………」
「はあ………」
………なんだろう?
「ソラ様は昨日の晩、アイカさんのの裸体を見ましたか?」
………はい!?
なんで知ってんの!?
昨日あの時アーニャさんの気配はしなかったよな!?
………もしかしてあの時見られてたりする?
なんとか誤魔化さなければ今の女の子の多い環境じゃワンチャン死んでしま「………まあ、アイカさんから話は聞いたんですが………」………あ、はい。
「私は知っているのです。昨日の夜、お風呂場にソラ様が忍び込んだことを」
…………はいぃいいい?
! え、ちょっ、待って!
「ちょ、ちょっと待って俺はそんなことしてない!トイレに行ったときにアイカさんが裸で廊下にいたから見ちゃっただけだ!」
「………まあ、知ってるのですが」
「………へ?」
じゃあなんでわざわざ聞いてきたんだ?
「アイカさんがお風呂から出る際に着替えを持ってきていなかったので私が取りに行こうとしたのですがアイカさんは自身でなにも着ずに行ってしまって………」
………まあ、アイカさんもそんなことを言ってたきもするなぁ………
「そしてその事を注意する際に話を聞いたら、偶然ソラ様に出会ってしまったと………」
………あー、うん。
なるほどねそれなら納得できるわ。
うん。これは誤魔化せんわ。
「………はい、そうです。俺が悪いですねすみません」
「いえ、私もそこまで責めるつもりはないんですよ。ただ確認したかっただけですので」
「そうですか………」
あ~マジで寿命が縮んだ気がする。
「騙すような真似して申し訳ありません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。それに咄嗟に目を逸らせなかったし………」
「そうですか。ですが今度からはそんなことは無いと思います」
……ん?どういうことだ?
「あの後、ソラ様に出会ったと聞いた後、しっかりとアイカさんには釘を刺しましたし人の常識を教えさせていただきました」
アイカさんは胸を張ってそう答える。
「そ、そうですか………それはよかった………」
ただ、男の性というかダメだダメだって思っていてもこれからあのハプニングが無いのはちょっと寂しい気もしなくもない………
「ソラ様?どうかされましたか?」
おっといけない。
つい考え込んでしまうところだった。
アーニャさんもそんな俺を見て首を傾げている。
うん、可愛い。
「いえ、なんでもありませんよ」
「そうですか。では、お時間ありがとうございます。私の方はこれで失礼します」
「了解です。こっちこそ俺のために時間を割いてもらってすいませんでした」
「いえ、気にしないで下さい」
アーニャさんは笑顔で部屋を出て行った。
「え!?」
先に部屋を出たアーニャさんの声が聞こえてくる。
その声はまるでここにいない人がここにいることに驚いているような声だった。
「どうしました………か………?」
俺もアーニャさんに続いて部屋の外に出る。
するとそこには………
「ど、どうも………」
「………ん………」
雪奈ちゃんと玲奈ちゃんの2人がいた。
2人はなぜか部屋の外のにいたらしい。
………いつからそこにいた?
【気配感知】のスキルを使ってなかったからいつからそこに居たのかがわからない………
「えっと………2人共なんでここに………?」
「えっと………2人だけで部屋に向かっていくのが見えて………」
「………気になって後を追った………」
2人ともなんか恥ずかしそうな顔をしている。
というかこの子達って意外と好奇心旺盛なんだな。
そして後を追ったってことは聞いてたのは最初からってことね。
「なるほどね………もしかして俺達の会話は聞いたりしてる?」
もし聞かれていたのならわりと真面目に自害も辞さない自信がある。
………聞いてないでほしいなぁ………
「いや、扉越しだったから聞こえてないですよ!」
「………うん………トイレに行ったときにとか………見ちゃったとかしか聞こえてない………」
………助かってるのか?
いやまあ、でも聞いてない方が助かるんだけど………
雪奈ちゃんも玲奈ちゃんも付き合いが短いからどんな仕草が嘘ついているとかがわからないから困る。
「そ、それじゃあ私達はこれで!」
「………それじゃあ………」
俺が考え込んでいると雪奈ちゃんと玲奈ちゃんは慌ててその場から去って行ってしまった。
………あの反応はどっちだ………
俺とアーニャさんの会話を聞いていたから気まずくなって逃げたのか、それとも俺達の話を盗み聞きしようとしたのがバレたからなのかどっちなのかわからないな………
「俺達も行きましょうか………」
「そうですね………」
こうしてアーニャさんと一緒に階段を降りたのだが、なぜか俺を頬をハムスターのように膨らましながら俺を睨んでいるようなエスカリアさんと、ジト目で俺を睨んでいる早希、そして俺から目を背けている雪奈ちゃんと玲奈ちゃんの姿が目には入った。
………聞かれてたくねこれ?
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