第6話 異変

 幼女から渡された一枚のカードを何の疑いもなく手に取ってしまった。


「くっ、意識が…全部持ってか…れ…」


 ぴちょん


 どれくらいの時間が過ぎたのだろう。辺りが真っ暗でよく見えない。

 身体の節々が痛む。それに怠い。

 ここが何処だか全くわからない。


 目がだいぶ慣れてきた。くそ。間違いなく言えるのは「やってしまった」ということだ。

 どこかでやっぱり油断していたということなのか。


 僕を狙っているのは、間違いなくお金が目当てだっていうことなのは確かだ。

 攫ったということは、まだ使い道があるとでも思っているのか、果たして…。

 

 身体が動くようになってきた。

拘束まではされていないようだ。

 ところでここは一体どこなんだ。

 洞窟か何かか?鍾乳洞のような突起物がやたらあって水滴が定期的に滴り落ちているみたいだが。

 少なくとも僕が住んでいる地域には鍾乳洞なんて存在しないぞ。

 まずいな、これは帰れない可能性が高そうだ。

 

 せめて灯りがあれば、もう少し良く見えるはずなのに。

 

 その時、右手の人差し指が急に熱くなって第一関節から爪の辺りに向かって血が一気に集まってくる感覚を覚えた。


 パァ!


 指の先から乳白色の光の粒が虚空に放たれた。

 

 「!ん!」


 何が起こったんだ?僕の指の先からまるで魔法のように光が解き放たれたぞ。

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