第43話 最も会いたくない者

私達はただ唖然としていた、いや、フローズ様はわかっていた様だったが、兎に角、この戦いは私たちの次元を遥かに超えていた


私達が彼奴に腰を振っていた時にクロスはあそこまで強くなっていた


フローズ様もあの2人の戦いを周りに影響させないためにも何重にもバリアの様なものをずっと張っていた


クロスは私達の遥か先にいる、そう実感できる戦いだった。


クロス「.....フローズ、もういいぞ解除してくれ。」


フローズ「ええ、わかったわ」


クロスがフローズに頼むとあたりにあったバリアのようなものは一瞬の内に無くなった。


クロス「ありがとう、フローズお陰で助かったよ」


そう言って頭を撫でる、フローズは途端にふにゃとリラックスしたような顔になった。


クロス「ミク達もフローズを守ってくれてありがとう」


そう言ってとびっきりの笑顔を見せながらミク達の頭を撫でた。


ミク達は涙を流しながらクロスの方を見る、クロスは驚いているが、ミク達はそんなのお構いなしだ、クロスは覚えていないのだろうが、クロスが彼女達に笑顔を見せるのは随分と久しぶりのことだった、それがなによりも嬉しくて泣いているのだ。


————————————————————

しばらくしてミク達が落ち着きを取り戻し、フローズが満足した後、彼らはマンルの所まで来ていた


クロス「..........」


フローズ「..........」


ミク「ねぇ、クロス」


クロス「なんだ?」


ミク「あたしって変かな?」


クロス「.....なんでだ?」


ミク「だって、例えどうしようもない屑でも人間は人間、その人間が目の前で死んでいるのになんとも思わないの。」


メミル「それなら私もよ、こいつの屋敷でリンチしてた時も罪悪感も何もなかったわ」


セシル「ねぇ、義兄さん、これって私達、おかしくなったって事?」


そう言ってこちらを見る、それを聞いてクロスは


クロス「少なくとも、俺はお前達がおかしなったなんて思ってないし、そもそも何を基準にして言っているのかよくわからないな、これは正当防衛だ俺は殺されそうになったし、お前達はまた犯される所だった、殺さなきゃいけない状況だったんだ、だから変か変じゃないかを俺判断で言うならばおかしくはない...と思う」


フローズ「今回は、私達には何の非もないわ、だからそんなに考え込まなくていいわ」


クロスとフローズはそう言って己の罪悪感で押しつぶされないように言った。


ミク「そっか....そうだよね、ありがとうクロス、フローズ様」


クロス「気にするな」


フローズ「そうね、気にする事はないわ貴女達は何も悪くないのだから。」


メミル「そう言ってくれると本当に助かるよ」


セシル「うん、もし義兄さんがいなかったら今頃罪悪感で心が押しつぶされる所だったよ。」


そう言って彼女達もやっと落ち着きを取り戻す


クロス「....とりあえず、村の皆んなが気付く前にこいつを何とかしよう」


フローズ「それに早くしないとクロスとミクの両親にも怪しまれるわ」


ミク「......それもそうね、でも....」


そう言ってマンルを見る


メミル「こんなのどうやって運べばいいのよ?」


???「なら、代わりにやってあげるよ」


セシル「本当ですか...て、あれ?今誰が喋ったの?」


クロス.フローズ

「!?」バッ


???「別にいいよ、だってそれ......」


レプリカ「僕のオモチャ(人形)だし♪」


クロス.フローズ

「レプリカァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


その瞬間クロスとフローズは一瞬で消えレプリカの背後に周り即座に攻撃した


しかしレプリカはそこにレプリカはおらず空を切るだけだった


ミク達

「きゃああああ!?」


しかし、2人の斬撃の力は異常でその勢いだけで彼女達は簡単に吹き飛ばされた


レプリカ「酷いねぇ、せっかく会いに来たのにこんな挨拶なんて、しかも僕がレプリカだって何でわかったの?姿も声も違うのに?」


クロスとフローズは睨みながら答える


クロス「テメェのその醜い姿が変わろうと、その本質までは変えられねぇ」


フローズ「貴方のその悍ましい雰囲気が...いえ、魂までは変えられない、だからわかるの」


レプリカ「ふーん、そんなもんなのかねぇ?ま!僕は別にどうでもいいけどねぇ~」


ここまで異常なほどの殺気を放つ2人を前にしてレプリカは態度を変えない、余程の馬鹿か、それとも.....


レプリカ「僕の目的は終わったし、オモチャを片付けなきゃいけないからね、今回は見逃してあげるよ♪」


そう言って目の前を横切ろうとする

しかし2人は紅き剣を出し、レプリカを止める


レプリカ「僕と遊んで欲しいの?別にいいけど、今の君達じゃ勝てないよ?"3割も本気を出せない君達が今の僕に勝てるとでも?"」


その言葉を聞いて2人は冷や汗をかく、レプリカの言っていることは正しく、彼らはまだ英雄の力を完全に使いこなせていない


今の2人では絶対に勝てない、そしてレプリカはそれを知ってあえて見逃そうとしている


クロス.フローズ

「...........っ!!!」ギリッ


とても腹が立つが、ここで死ねば意味がない、2人は紅き剣を消す


レプリカ「そうそう、今日は君達も疲れたろうし、これでバイバイするからね」


そう言って2人の後ろにある、マンルの死体の所まで行きその近くにミク達がいることに気付く


レプリカ「へぇ、君達があのクロスの仲間かあ、弱っちいなぁ、そんなんじゃ楽しめないよ、今度会うときはもっと強くなってね♪そうしないと」


レプリカ「殺し甲斐がないよ?」


ミク「ひぃ!」ガクガクガクガク


メミル「ああ....うう....ああああ」ブルブルブルブル


セシル「.........」気絶、失禁


レプリカのちょっとだけ見せた殺気、それだけで彼女達の戦意は喪失した。


こんな化け物に勝てるわけがないと、そう確信して


レプリカ「また遊ぼうね!クロス、フローズ、次会う時は5割くらいは戻してねぇ~、んじゃ!」


そう言ってレプリカは姿を消す、ミク達はまだあの時の恐怖の余韻が残り動けなかったが、クロス達は姿を消していた


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2人の秘密の森~泉前~


クロス達は英雄の力をフルに使って僅か数分でこちらについた、そして周りに誰もいない事を確認して息を吸う.....そして


クロス.フローズ

「くそッたれがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


紅き剣を出し思いっきり叩きつける


ドゴォォォォン!!!!!!!


周りの地面はクレーターと化し、斬撃は泉を真っ二つに切り更に数百メートル離れた反対側の森にまで届き、爆発が天高く轟いた。


クロス.フローズ

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」


しばらく息切れをし、落ち着くまで待った

気分も落ち着き、冷静に考えられるようになった、2人は歩きながら森の出口に向かい歩いて行った


クロス「......レプリカ、信じたくなかったが、まさか本当にいるとは」


フローズ「しかも私達が本気を出せないことも知っていた」


クロス「....舐められたものだ、今ここで殺せたのに彼奴は見逃した...クソが!」


フローズ「逆にチャンスと捉えましょう、あの舐め腐った野郎に今度こそ負けないように」


クロス「ああ!必ずな....!!!!」


そうやって2人はミク達を置いてきてしまったので急いで戻るために英雄の力を使って急いで戻った


————————————————————

続く。

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