多分フィクション
僕と一式望は高校生一年生から付き合い始めた。仲睦まじい夫婦と揶揄される事もあった僕達だったけど、それは揶揄でもないような気がしていて。途中大学と専門学校とで離ればなれにもなったけど、学校が終われば高校生の時の様に甘々な時間を二人で過ごしたりもしたり。先に社会人になってしまった彼女に対して、一瞬浮気を疑ったりもしたけど、やっぱりそれも誤解で。思い思われ続けている僕と望は、ついに結婚を望む様にまで発展する。けれどもそこに立ちはだかるは望のお父さん、僕の言葉を耳にしたお父さんは、僕の事を問答無用で殴りつけた。
「二十五歳までは認めない」
望は家庭を大事にしてきた女の子なんだ、家族関係を壊してまで一緒になる事は、きっと彼女も望んでいない。三年が経過し、僕は再度お父さんの下を訪ねる。そして許可を貰えたんだ、殴られた理由と共に。
それからはとても幸せな日々を過ごしていた。娘にも恵まれ、過分なまでに幸せな日々。けれど、出張を早帰りしたその日、僕は見てしまったんだ。愛している望が、僕に対して唯一隠していたとある事を。