第108話 確実に勝てるという確信です
四つ目の競技を、実況がこの日一番の驚きをもって伝えていた。
「なんという目まぐるしい展開なのでしょうか!? F組がC組、D組、E組による共闘の罠にかかったかと思いきや、それ自体、C組が仕掛けた罠だったようです! 味方すら巻き添えにする荒業で、なんとまとめて全滅さてしまったぁぁぁっ! しかし、この戦い、それだけでは終わりませんでした! あの猛烈な冷気を、無傷で乗り越えたのがF組のアリスさん! C組のサラさんとの魔法対決で完勝し、たった一人だけ生き残りました! だがそこに、今度は六人全員そろったA組が迫りくるぅぅぅぅぅっ!」
しかし実況と聴衆を驚愕させたのが、そこからのアリスの戦いぶりだ。
「ななな、なんという強さでしょうか!? アリスさん、たった一人でA組の六人を撃破ぁぁぁっ! さらにその直後に現れたB組も、連戦の疲れを感じさせない強さで圧倒しているぅぅぅっ!」
そしてA組とB組を一人で全滅させてしまい、最後に残ったのは彼女だけとなって、四つ目の競技は終了。
「これでF組は合計十七人で一位! 十ポイントを獲得! C組は僅差の合計十六人で二位だぁぁぁっ! 現在の総合ポイントは、一位がC組の二十五ポイント、二位がF組の二十ポイントとなり、大接戦で最後の競技を迎えることになります! なお、三位がA組の十ポイント、四位がB組の五ポイントです!」
さらに実況は続けた。
「やはり優勝の大本命はラーナ先生の率いるC組でしょう! 一方、逆転優勝の望みを唯一残しているF組、終盤にきて驚異の追い上げをみせてくれましたが、残るプレイヤーはたった一人だけ! さすがに逆転は難しいかっ!?」
最後の競技に向けて会場が大いに盛り上がる中、シャルティアのところへ、またラーナがやってきていた。
「ここまであなたのクラスにしてはよく頑張ったわねぇ。まさか五つ目の競技まで勝負がもつれ込むなんて思ってもいなかったわぁ」
先ほどアリスに作戦を打ち破られたにもかかわらず、随分と上機嫌だった。
「でも、残念だけれど結局、結果は変わらないわぁ。今から罰ゲームの覚悟をしておいた方がいいと思うわよぉ」
自分たちの勝利を確信しているらしい。
そんな同僚に、シャルティアは表情一つ変えずに言い返した。
「いいえ、その必要はありませんね。むしろ罰ゲームに備えておいた方がいいのはあなたのほうでしょう」
「うふふ、強がっちゃってぇ」
「強がりなどではありません。次の競技、確実に勝てるという確信です」
「……へぇ」
相手が悔しがる様子を見にきたはずだったラーナだが、それどころか勝利を断言するシャルティアに苛立ちを隠せず、額に血管が浮き上がった。
「言っておくけどぉ、こっちも最後の競技には、ちゃんと力のある生徒を残しているわぁ? たった一人の生徒で何ができるかしらねぇ? 楽しみだわぁ」
そして押し殺した声で告げ、踵を返して戻っていくのだった。
シャルティアとラーナが言い合っている頃。
エデルはすでにフィールドのスタート地点に辿り着いていた。
「ええと、最後の競技は、一つ目と同様、魔物の討伐数を競うやつだったっけ」
五つ目の競技の形式は、最初の競技と似通ったものだ。
だが大きく違う点が一つあった。
「それでは召喚士のバングリア先生、またまたお願いします!」
再び召喚魔法を専門としている教師が現れ、召喚魔法を発動する。
「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」」」
そして魔法陣から次々と現れたのは、身の丈三メートルを超える巨漢、トロルだった。
「最初の種目ではオークでしたが、この最後の種目ではより凶暴で凶悪な魔物、トロルとなります! フィールド内に解き放たれた、三十体ものトロル! なんと恐ろしい光景でしょうか! 全五種目の中で、最も危険と言っても過言ではありません! 一年生にはなかなか酷な競技です!」
魔物がオークからトロルへ変わったことで、討伐難度が大幅に上がったのである。
――ただ一人、規格外な少年を除いて。
「……オークもトロルも、そんなに大差ないと思うけど」
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