4章

文化祭明けて



 文化祭も終わり、翌日。今日は授業がなく、後片付けの日である。


早朝、俺が教室へと行くと、中には四葉がいた。

ほかに生徒たちはいない。


「…………」


 俺は昨日、四葉からの誘いを蹴ってしまった。俺は……彼女への気まずさを覚える。


「お、りょーちん。おっすー」


 四葉は俺と顔を合わせると、にぱっと笑って言ってくる。

 手を振りながら俺に挨拶をする彼女からは、負の感情を感じられなかった。


「てめーアタシとの約束すっぽかしたなこんにゃろー♡」


 あくまで笑顔で四葉が言う。

 俺にヘッドロックをかけてくる。張りのある胸がぐりぐりと当たって、気持ちよかった。


「わ、悪いって……」

「謝って済むならけーさつはいりまっせーん! このぉ!」


 彼女にプロレス技をかけられてても、痛みは感じなかった。じゃれついてるような、そんな感じ。四葉からはいつも通りの彼女感? ってやつを感じて、ほっとしている自分がいた。


 ややあって。


「ほーん、夕月ちゃんがねー倒れてねー、アタシよりそっちゆーせんしたんだふぅん」


 机の上にあぐらをかく四葉。俺は教室の中の掃除をしながら会話する。微妙に気まずくt、俺は四葉の顔を見れなかった。


「いんじゃね」

「そう……?」


「別にいいじゃん。気にしなくてよぉ。それが……あんたの選んだ結果なら……さ」


「選んだって……」


「そうでしょ。夕月ちゃんとアタシを比べて、だいじなほーをとったってわけじゃんな」


 四葉の顔は少し切なそうだった。


「いや、でも別におまえをないがしろにしてるわけじゃないぞ」

「わーってるって」


 ひらひら、と四葉が手を振る。


「あんたがちんこだけのやりちんくそ野郎じゃないのは、アタシわかってっからさ」

「ど、どうも……」


「ま、下半身は無節操だけどね♡」


 つんつん、と足を伸ばして四葉が俺の股間をつつく。


「いやそんなことは……」

「アタシにつつかれておっきくしちゃってるくせにぃ~?」


 ぐ、確かに……朝だからか。


「別にいいよ。ここでやっても」

「よかねーよ」


「いいって。アタシは……さ。都合のいい女でよ」


 机に手をついて、お尻をつんと突き出して言う。


「ほらほら♡」


 ……今までだったら、俺は流されて四葉を抱いていただろう。

 けれど……昨日。俺は夕月と心を通わせた。もう前みたいには……だけない。


「ん。おけ。わかったよ」


 四葉は切なそうにわらう。


「わかったから、さ」

「四葉……」


 彼女はそのまま教室を出て行く。俺は……追いかけられなかった。追いかけてしまったら、夕月に悪いと……そう思ったから。


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