3章

42話 セカンド義妹は小学生【先行版】



 季節はめぐり、10月になった。


 俺たちの通うアルピコ学園、その昼休み。


 俺、四葉、みしろ、そして夕月ゆうづきの4人は、保健室にいた。


「もうすぐイベントラッシュですなー」


 半裸の四葉がもぐもぐと昼飯を食いながら、俺に問うてくる。


「四葉、服着ろよ」

「飯食った後にやるから、いーじゃん」


 保健室にたむろする俺達。

 そこへ保健の諏訪すわ先生が、湯呑をもってやってくる。


「あのねみんな、ここはたまり場じゃないのよ……教室で食べなさい」


 先生はあきれた様子で、テーブルの上に湯呑を置いていく。


 四葉が訳知り顔でうなずく。


「わーってるって、先生。たまりじゃないよ」

「良かったちゃんと理解してるのね」


「やり部屋っしょ?」

「全然理解してない!?」


 ……まあ保健室が完全にやりべやになってるのは事実だ。


 現についさっきまで、四葉と、あとついでにみしろともやった。


 みしろは白目向いてベッドの上で気絶している。


「大丈夫理解してるって、直接的なエロ描写はさけるから」

「おまえは相変わらず何を言ってるかわからん」


 むぐむしゃ、と四葉が弁当を食べる一方で、


「はい、亮太君♡ あーん♡」


 俺の隣には、一見すると精祖可憐な美少女が座っている。


 義妹の、飯田夕月。

 親父の再婚をきっかけに、同居することになった美少女だ。


 色々あって義妹と恋人の中間みたいな関係になっている。


 夕月は手作り弁当を作っており、俺に向かって箸を向けてくる。

 からあげだ。


 人前であーんされると照れる、がこのメンツの前ならそんなにテレはない。

 まあ、それ以上のことしてるし、今更ね。


 夕月からあーんされて食べた唐揚げは、いつもよりうまく感じた。


「へいりょーちん。おいらの手作りも食べて♡」


 食いかけのコッペパンを、四葉が俺に、笑顔で向けてくる。


「それ手作りじゃねえだろ」

「工場でアタシが手造りしてる可能性を、君は一度でも考慮したのかね?」


 また馬鹿なことを言ってる……。


「工場で四葉さんは作ったのか?」

「いーや作ってない! とにかくくえ!」


 俺の口にコッペパンをねじ込んでくる四葉。

 こいつの食いかけをどうして……。


「あーん、間接きっす~♡ りょーちんと間接キスしちゃった♡ はずかぴー♡」

「いやキスくらいじゃ照れないよ」


 こいつの全裸とか普通に見たことあるし。

 というか、現在上半身裸だしな、こいつ。


「風邪ひくぞ。そろそろ寒くなるんだし」

「わはは、四葉さんは風邪をひかないって地元じゃ有名なんだぜ?」


「ああ」


 馬鹿だからか。


「ところで亮太君、2学期のイベントなんだけど……何があるか教えてくれる?」


 夕月はこの学校に、二学期から転校してきた。

 だから知らないのだろう。


「まず文化祭。その後に体育祭があって」

「そんで修学旅行! ちょーたのしみー!」


 その前に中間テストがあるんだが、まあ四葉のやつは、完全に失念しているだろう。


「結構イベントが団子になってるんだね」

「まあ、二年生だからな」


 来年俺たちは受験生なので、学生らしいイベントはあまりない。

 今年で最後である。


「四葉よ、内のクラスの文化祭の出し物、本当にコスプレ喫茶でいいのか?」

「もちのろんでしょ!」


 こないだのロングホームルームで、この女が熱烈に押してきたのだ。

 とりあえず保留ってことにしたのだが。反対意見もないし、このままだと通る。


「あれ? なんでりょーちんがそんな、クラス委員みたいなことしてるの?」

「俺がクラス委員だろうが」


「おお! あったねそんな設定」

「設定いうな」


「初期設定って忘れがちだよね~」


 相変わらずこの女は何を言ってるかわからなん時がある。

 ちなみにもう一人のクラス委員は、そこで全裸で伸びてるみしろだ。


 こいつは二学期……というか、俺と肉体関係を持つようになってから、真面目さがだいぶ減った。俺がだいたいクラスの雑用をやっている。


 まあそろそろやる気を出してほしい。


「修学旅行は京都ですよきょーと! いやぁ、たのしみでんな~」

「そうだな。その前に班決めがあるけど」


 班は自由に決めていいのだが、俺の中いい人ってそんなにいないから、困った。


「アタシでしょ、ゆづちゃんでしょ、みしろんとー……先生?」

「あたしは行きません!」


 5人班なので、クラスの誰かを班に入れる必要がある。


「まー、そのうちいい女が見つかるっしょ」

「なぜ女限定なんだよ」

「え、だってお約束でしょそこは?」


 何のお約束だ、何の。


    ★


 放課後、俺、四葉、夕月、みしろの四人は、先生の運転する車で、俺の家へと向かっていた。


「ちょっとタクシー? おそいよー。爆速でやり部屋2へ連れてくのだ!」

「うう……完全にパシリ……」


 このところ、昼は保健室、夜は俺の家、で毎日のようにやりまくっている。


「やー、りょーちんも便利なパシリ犬を手なづけましたな。セックスしてやる、っていえばなーんでもしてくれんの」


 四葉が最低なことを言ってる……。


「せ、先生はね、そんななんでもなんてしませんよ?」

「じゃありょーちん独り占めエッチさせてやるから、冬のボーナス全額ちょーだい?」


「そ、そそ、そんなばかなこと、りょ、了承できるわけないでしょ?」


 先生顔真っ赤にして、目を泳がせていた。

 ボーナス全額って……。奴隷根性染みつきすぎだろ。


 と、そのときだった。


 ピコン♪


 スマホに通知が入る。


「亮太君、だれから?」

「哲郎」


 俺の親父からのlineだった。


『セカンドが来る。あとよろしく』


 俺も夕月も首をかしげる。


「セカンド、ってなにかな?」

「わからん……」


 親父は結構自由人だ。

 割と急にいろんなことブッ込んでくる。


 セカンド……。


「なに、野球でもする? あたし強いよ。ポジションはフォワードな」

「おまえが野球に一ミリも詳しくないのがよくわかったよと四葉」


 野球のセカンドじゃないとすると、なんだ?


 考えているうちに、車が俺の家へと到着。


「さーて! 今日も元気に5ぴー5ぴー!」

「に、贄川にえかわさん声が大きいわよ……」


 先生が顔を赤くしながら、俺たちの後についてくる。


「だいじょうぶ! どーせ先行版じゃ全カットなんだから! 何言ってもキンクリよ!」


 相変わらずわからん……。


 夕月が鍵を開けようとして、固まる。


「どうした?」

「……鍵、開いてるの」


 もちろん、家をでるときは、ちゃんと鍵をかけた。

 ということは、誰かが入ってきた……?


「ゆけ、パシリ犬、もとい先生」

「なんであたし!?」


 いや、ね。

 そこは大人だからな。


「あたしだって強盗怖いんだけど……」

「先生たのんます」

「おっけーご主人様ぁ~♡」


 相変わらずちょろい先生をおとり、じゃなくて、中に入れる。

 すると……。



「い、飯田君っ。なんか、子供いるわ!」


 先生が慌てて、俺の元へと帰ってきた。


「子供?」

「りょーちんもうゆづちゃん孕ませたの? はやくね?」


「断じて違う!」


 しかし子供なんて……。


「あー! おにいちゃん♡ おかえりなさい♡」


 ととと、とこちらにやってきたのは……。


 長い金髪に、真っ白な肌の、10代前半の少女だ。


 青い瞳がキラキラ輝き、俺に笑顔を向けてくる。


「あいりはいいこで、まってました♡」


「…………」


 四葉が俺の肩をぽんとたたく。


「自首、しよ? さすがに小学生とやるのは、まずいっしょ?」


「なんでやる前提なんだよ!?」


「りょーちんやりちんだからほらちんちん」


 こいつ本当に女かよ!?


「あの……あいり、なにかまずいことでも……しましたでしょうかぁ~?」


 金髪の美少女が不安げに俺を見てくる。


 手を胸の前で君で、いっさい濁りのない瞳を俺たちに向けてくる。


 四葉はしゃがみ込むと、にかっと笑う。


「おっす、あいりん! アタシは四葉! このお兄ちゃんの友達だよ」


 目線を合わせながら、四葉が言う。


「はじめましてよつばさん! あいりは、あいりです!」


「そかそか♡ で、あいりんは、このお兄ちゃんとどういう関係なのかな?」


 えと、とあいりが口ごもる。


「あいりは、おにいちゃんの……ぎりの、いもーとって、やつです!」


「義妹……」


 セカンドって、そういうことかよ、親父!



―――――――――――――

【★あとがき】



3章スタートです!がんばります!


やるかやらないかは、今んとこ未定。

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