主人公ディルは、異世界転生したけれども、持ち得たスキルは、『スライム硬化』というスライムを固くするものでした。
もっと凄い能力に比べたら自分のは外れスキルなのだと思います。
パーティーからは追放されてしまい、壊れた戸の穴を塞ぐのにスライムを用いる穴塞ぎ屋として商売にします。
職人気質で、大きな穴はまるで左官屋さん気分で塞げたりもできます。
そんな或る日、この街も魔物に襲われます。
もう冒険者でもないディルにできることがあるのでしょうか?
このファンタジーの主役は、ほぼディルとスライムです。
スライムの工夫した使い方に感心いたしました。
作者様が別に書いていらっしゃる穴のシリーズ『深淵を覗くとき◆3分で読む不思議な穴の物語◆』より、本作が生まれたのではないかと想像いたします。
このファンタジーとスライムと穴との出会いが、素晴らしい化学反応を起こしたのではないかと思います。
最後はスカッとする読み心地です。
読み易い文体と、楽しい展開、そして流行りの要素をおさえた展開は、読み手を選ばないと思います。
是非、ご一読ください。