第188話「困難や障害」

どうも今大きな困難や障害に直面しそれ以上前に進めなくなってしまったようだ。その障害は大きく、そしてとてつもなく強いものだ。

「どうしたらいいか分からない」

そう言うと彼女は黙り込んでしまった。彼女のために何かできないだろうか?彼女が立ち上がれるように、また前に進めるように僕が力になれることはないのだろうか? 僕は彼女の手をそっと握った。すると彼女は僕の方を見てこう言った。

「私と一緒に逃げてくれませんか?」

「もちろんだよ」

僕達はこの広い世界から逃げ出した。

「一緒に逃げよう」

私は目の前の男にそう言い放った。男は驚き戸惑っている様子だったが、少し考えた後こう答えた。

「分かったよ。じゃあどこへ逃げる?」

私は答えた。

「ここじゃないどこか遠くへ行こう」

男は何も言わず微笑みながらうなずくだけだった。私達には目的地があった。それは誰も知らないような遠い場所だ。電車を乗り継いで、バスに乗って、歩き続けて、時には野宿をしてでもその場所へ向かうのだ。そこに行けば全てが解決すると思っていた。

「ねえ、君の名前は何ていうんだい?」

男が突然私に質問してきた。

「名前なんてないわ」

「えっ!?だってここに来る前は……」

「そんなこと聞いてどうするつもり?」

私は彼にそう聞いた。

「いや、別に……ただなんとなく気になっただけだよ」

彼はそう言って困った顔をしていた。

「ふーん、まあいいわ。それより早く行きましょう」

「そうだね」

こうして私達は旅を始めた。

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