第141話「詐欺師」
「詐欺師は舌先三寸でお年寄りを丸め込んだ。口先だけで、心のこもっていない言葉。被害者の会が結成された。しかし、その被害妄想の果てに、この世の終わりがやってくると本気で信じている被害者がいるとしたら?……もしそれが本当だとしたら、それはもう詐欺ではなくて宗教だ」
と俺は言った。
「おい、何を言っているんだ?」
「確かにこの国には宗教はない。だが、それに代わるものが、ここにある。それが、これだ」
そう言って俺はポケットから一冊の本を取り出した。俺が取り出したのは、とある宗教団体が書いたとされる本だった。タイトルは、 『超常現象・心霊体験談集』である。
「何が言いたいのかわからないよ」
「つまり、こういうことさ」
俺は本をめくって、あるページを開いた。そこには、次のようなことが書かれていた。幽霊を見たという人がいた。その人は、突然誰かに腕を引っ張られた。その後、家に帰ると部屋中に血痕があった。そして、その日の夜、夢の中で、亡くなったはずの祖母が出てきた。その翌日、家に強盗が入った。その日以来、家族全員が、謎の体調不良に悩まされるようになった。ある日、近所の人が、夜中に大きな音がしたと言っていた。翌朝、家の屋根に巨大な穴が開いていた。数日後、その人の部屋に、見知らぬ女が現れた 10それからというもの、家の中のものが次々と盗まれていくようになった。そしてついに、家の中から、人間の死体が発見された。死体の顔は、どう見ても自分の顔だった。その夜、自分は死んだはずなのに、目が覚めた。すると、目の前に自分がいた。自分の隣にも、自分そっくりな人物が立っていた。次の瞬間、二人は消えた。その後、家の中の家具の位置が変わったり、壊れたりするようになった。家中のものが勝手に動いたり、動いたりするところを何度も目撃した。
「もういい。付き合ってられないよ」
そう言って話し相手は去っていった……。
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