第43話「一月三舟」

「仏の教えは本来一つであるのに、人々はそれぞれ異なった受け取り方をしてしまう……」

僧侶は涙した。

「そうだよ」(激ウマギャグ)

師匠が返事をした。

「それでは、我々は一体どうすればいいんですか?」

「知らん」

「はぁ」

僧侶は落胆の表情を見せた。

「釈尊がおられた頃でもだらしない仏弟子はいたと言われている。できることをしなさい」

「はぁ……」

僧侶は生返事した。

「仏の道とは己を磨くことなのだからな。精進しなさい」

そう言うと師匠はまた歩き始めた。

「あのー」

僧侶は呼び止めた。

「なんだね?」

「仏門に入って修行するというのはどういうものですか?」

「知らん」

「えぇ……?」

「自分で考えろ。俺はただ歩くだけだ」

そういうと師匠は再び歩き出した。

「…………」

僧侶は唖然とした顔で立ち尽くしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る