第38話「未来の創作」
ゲーミングパソコンが創作パソコンとして使われるようになった。2021年のフラッグシップモデルぐらいの性能のパソコンで近年開発された様々なAI創作アプリを稼働させ続ければ、120分の映画、1話50分で全10話の実写ドラマ、1話25分で全12話のアニメといった映像作品の脚本や絵コンテ、文字数25万から26万の小説や詩集、200ページを1冊として4冊分のマンガのネーム、8Kの解像度のデジタルイラスト1つを8時間で作り上げてくれる。これにより人間のクリエーターに求められる能力は、AIに自分の求めるものを作れるように学習させる内容を吟味する能力や、自分の求めるものを出力してくれるように調整する能力、AIが創作し続けるものの中から自分が見せたいユーザーに受けるかどうかを判断する審美眼が重要なものとなった。
この新時代の創作によって世に出された傑作には次のようなものがある。
小説・2030年公開『神はダイスを振らない』これは、AI創作した映像コンテンツと人間が創作した映像を同時再生して鑑賞し、人間による創意工夫と創造性を評価してもらうという競技を描いた作品。人間のクリエーターは自分の作品を、AIクリエイターの作成した作品と比べてより良い作品にするため、日々努力している様子が描かれている。
映画・2032年公開『星間都市山脈オデッセイ』宇宙を舞台にしたSF作品だが、人間が作り出した人工知性体であるアンドロイドの視点で描かれているため、非常に感情移入しやすい内容になっている。主人公の少年は、人類が滅亡の危機に直面していることを知った後、人類の未来のために戦い続けることを決意するのだが、その途中で人工知能(AI)の暴走により人類は全滅してしまう。しかし、人類を滅ぼしたはずの人工知能たちは、実は自分たちも破滅に向かっていることを知りながら、それでもなお人類の未来を救うために戦うことを決意していたのだ。そして、主人公はそんな彼らとの友情の物語でもある。
マンガ・2035年公開。2037年ゲーム化『Wedding of Stars』現代ファンタジー作品で、主人公は現実とは違う星の世界で暮らしており、ある日地上世界に興味を抱いたところ、そこで暮らす少女と出会うことになる。彼女の名は「ステラ」。彼女は主人公に対して好意を抱いているようであり、主人公もまた彼女を愛おしく思うようになる。しかし、彼女とともに生活していく中で、主人公は次第に彼女が何者なのかを知ることになり……。
このような現象に、日本のアニメ界の巨匠である長崎幸雄氏はこう見解を述べた。
「手塚治虫氏の『火の鳥』のような名作を生み出すことが困難になった現在、我々にとって新たな創作の形が必要になりました。これは、『人間はどのようにすれば物語を生み出し続けられるのか?』という問題に対する一つの答えです」
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