第4話、どうも、良く分かりません……

 ある程度、書き進め、自分の作品を読み返した時、違和感を覚えます。

「 …他のヒトが書いているのと比べると… 何か、違うんだよね 」

 それは、どこか……?


 ( 空白か……! )


 ↑

 そう、ココの部分です。

 ライトノベルの場合、『 1行間空け 』と言う書き方は、『 技法 』とまでいわれるくらい、頻繁に行われます。 …まあ、絶対にこの『 技法 』を行わなければならないと言う定義は、現実的には存在しませんが……

 かつて『 ケータイ小説 』が、一世を風靡した時代には、過激までの改行空けが行われており、それは今でも、一部の方により『 中毒 』のように表記されていますね。

 こんなカンジです。

 ↓


 マサトは、私の顔を、まじまじと眺めながら言った。

「 お前のことが、好きなんだよ……! 」





 ……え?





 それって……





 信じらんないっ!


 ↑

 書いてて、メッチャ恥ずかしいっス……!

 4行( 出版業界では、4ラインと呼び、略して『 4L 』と表記します )を空けてみましたが、私は最長、21行の『 大作 』に遭遇した事があります。 ある意味、まさに、暴挙とも言えます。 創作の途中で、間違って投稿してしまったのか? とさえ、思ってしまいました。


 心理描写を、三点リーダーに頼っているのは良くない趣旨の事を、先に記させて頂きましたが、この過激なる改行空けは、まさに心理表現力の欠落です。

 この書き方を、好む方がいらっしゃるのも事実ですが、文学として評価されるのは、おそらく、皆無である事と推察されます……

「 …まあ、敢えて書いていらっしゃるのだろう 」と、作者側を『 擁護 』した観点に立ってみたとしても、明らかに、やり過ぎであると評価せざるを得ません。

 何事も『 程々に 』です。



 さて、1行空けを、どこに設けるか……

 これは、非常に難しい問題です。

 ちなみに、絶対に空けなければ、ライトノベルとして認知されない訳ではありません。 先の章で記させて頂いた『 文章の顔 』と同じく、読者の方々から見た『 読みやすさ 』に則した書き方なのですから……


 全く空けなければ、『 文章の顔 』は、真っ黒です。

 それを好む方の存在は、この際、置いておいて…… やはり、乱数表か電話帳( 最近は、無くなりましたね )の如く、文字で埋められた様は、ほとんどの方が『 敬遠 』される事と思われます。 つまり、『 読まれません 』……

 やはり、適度な空間を配した方が、読まれやすい傾向にあるのは、必然となりましょう。


 では、最適な1行空けの『 場所 』とは……?


 それは改行と同じく、文章の区切り… あるいは、目立たせたい語句・心理描写の前後を空けると、非常に効果的かと思われます。

 本拙作でも『 区切り 』のある個所で多数、設けております。 階段を上って行く時にある『 踊り場 』のようなものですね。 一息、つきたい部分とか。

 ただ、数行間隔で頻繁に空けると、レポートのようになってしまいますので、ご注意を。

 これもまた、『 程々に 』です。


 1行空けを施し、目立たせたい文章を書きます。

 その文章が数行ある場合は問題ありません。 1行の場合でも大丈夫です。

 問題なのは、その後、更に1行のみとなり、「 再び、1行空けを行いたい! 」となった際は、少々、問題となりましょう……

 なぜなら、せっかく1行空けをして次の文章を目立たせたのに、再び1行空けをして連続させたのでは、目立たせる意味が無くなってしまいます。 それ以前に、文章形態として不自然です。

 下記に、例文を作りました。

 ↓


 その時、彼は立ち上がった。

 おもむろに剣を持ち、それを天に向けて立てる。

 不穏な雰囲気を感じる、曇天の空を映す諸刃……

 彼は、鈍く光る刃を見つめ、小さく呟いた。


「 運命宿りし、寂刀の主よ…… 」


 刃が、一瞬の輝きを放つ……!


 その時、彼の後ろに立つ、1人の影が刃に映った。


「 お前は……! 」



 う~ん… 陳腐な文章を書きましたが、ご容赦を……!

 こうなると、もう、ある意味『 中毒症状 』が現れています。 1行空けは、多用するとおかしな文章構成になってしまうのです。 まあ、状況の1つ1つを目立たせたい気持ちは分かりますが……


 場面展開には、必ず状況があり、それを読者の方に伝えるのが『 状況描写 』です。 詳しくは、拙作創作論『 異世界モノ、ちょっと斬ってみた件について 』にて説明しておりますので、宜しければご覧下さい。


 さて、この場合、この状況描写などを加えると解決出来ます。

 以下に、無限にある改訂文の内、一番簡単な例文を記します。

 ↓

 その時、彼は立ち上がった。

 おもむろに剣を持ち、それを天に向けて立てる。

 不穏な雰囲気を感じる、曇天の空を映す諸刃……

 彼は、鈍く光る刃を見つめ、小さく呟いた。


「 運命宿りし、寂刀の主よ…… 」


 刃が、一瞬の輝きを放つ……!

 やがて握る手には、わずかな振動が感じられた。


 ……その時、彼の後ろに立つ、一人の影が刃に映る。


 彼は、右の眉を少し動かし、その影の『 主 』を見定めた。 天に捧げられていた諸刃が震え、刃の輝きが一層に増す。

 やがて、絞り出すかのような、しゃがれた声が流れた。


「 ……お前は……! 」



 無理やり、その状態を作って記した作文ですので、稚拙な文章はご容赦を。

 状況描写を数行、挿入致しましたが、1行でも構いませんし、心理描写や心情的なセリフでも良いでしょう。 読者の方への『 状況 』のアプローチが遂行出来れば、1行空けは、何度行っても問題ありません。 常識の範疇にて、センス良く( コレが、難しいのですが… )行ってみて下さいね。


 また、行間を最初から、全て1行空けして書く方もいらっしゃいますが、この書き方に関しては… 誠に、申し訳なく思いますが、私的にはNGだと思います。 何故なら…… 詩やエッセイならともかく、小説では、やはり違和感を覚えるからです。

 ちなみに『 縦書き 』にしてみて下さい。


 …まるで、脚本原稿です。


 とても小説とは思えません。

 この『 行間 』に関しては、出版社別に出版規定があり、明らかなる『 1行空け 』は、小説の場合、認知されません。 これに関しては、言い切りをさせて頂きます。

 出版する出版社の編集の方で、校正により『 強制的 』に換装されます。 横書き印刷物の場合は、この限りではありませんが……


 『 読みやすさ 』、もしくは『 見た目 』を念頭に置いた経緯から、1行空けの書き方をされていらっしゃるのだとは思いますが、他の趣旨への『 振り替え 』を、早急に吟味して頂く事をお勧め致します。 同意・賛同される方もいらっしゃるかとは存じますが、おそらく、そのうちに『 注進 』コメントが届くでしょう……


 あと、会話文や、他の登場人物の会話文が続く際なども、1行を空けて書く方がいらっしゃいます。

 こんな、カンジ。

 ↓

 僕は、机でメモを書いていた彼に、向き直った。

 書いていたペンを止める、彼。 僕を見上げると、苦笑いをしながら言った。


「 やっぱ、違うと思う? 」


 屈託の無い、優しい表情だ。

 僕は、手にしていたスマホをテーブルに置くと、答えた。


「 うん、そう思うかな…… でも、それってお前のやり方だろ? 」


「 まあね。 だけど、これが正しいとは思っていないよ? 言うならば、俺のこだわりかもしれないな。 何となく、こうなったんだ 」


「 そうか… ま、僕的には構わないケドね 」


「 認めてもらえて、安心したよ 」


 小説としてのカテゴリの中での、このような会話文の表記の仕方は、私的には、非常に違和感を覚えてしまいます。 …てか、このような書き方を散見した途端、申し訳ありませんが、交流のある方の作品は除き、私は、もう次を読むのを止めてしまいます。 1行空けが気になって、作品を拝読する事に集中出来なくなるからです。

 以前から交流のある方は、その作風・創作に対する意気込み等を熟知しておりますので、書き方への違和感を払拭させつつ、拝読する事が出来ますが、初対面の方の作品では… 私は、無理ですね。 すみません……


 おそらく、どなたかの作風を模倣されたか、これもまた、読者の方への『 読みやすさ 』を追求しての結果だとは推察致しますが… 私的には、必要性を全く感じません。 まあ、書籍化された場合、訂正対象となりますので構わないとは思うのですが、私は、読む進める事が出来ません。

 …つまるところ、これも、読み手を失う要因となる訳です。


 そのような要因は、なるべく少なくした方が良いかと思われますので、ご注意を。

 勿論、基本的に書き方は、作者の方の自由ですので、この限りではありませんよ? 

 特に、創作歴の長い方には、あまり強く、注進したくはありません。 ただ、創作を始めたばかりのビギナーの方におかれましては、何事も、まず『 基本 』に忠実とした方が無難、と申し上げている次第です……



 では、次の提議と参りますね。 意外と知られていない『 ルール 』です。

 これは、創作の世界では常識とされており、発刊されている書籍の内、小説とされる創作物は元より、ほとんどの書籍に反映されております。 初めて知った方、これからの創作活動にお役立て下さいね。


 「」内は、改行をしない。


 …そう。 しないのです。

 実は、私も創作を始めた頃、思いっきり改行していました……

 下記に、例文を記します。


 彼は、おもむろに読んでいた本を閉じ、私に尋ねた。

「 なあ、お前の家って南区だったよな……?

  この本の作者、南区に住んでた事があるってさ。

  本町通りの鳥川交差点角に、横田商事の社宅があったろ?

  ソコらしい 」


 ……何となく、改行して左揃えにし、『 見栄え良く 』したいキモチは分かりますが、コレ… ダメなんですよ……

 書籍化された場合、これも強制的に、校正で『 修正 』されます。

 理由は、「 どこまでが会話文なのかが、不鮮明になるから 」だそうですが、これまた諸説ありますので、ご周知下さいね。

 「」の中は、ナニも考えず、そのまま記述した方が、問題は無いでしょう。

 ↓

「 なあ、お前の家って南区だったよな……? この本の作者、南区に住んでた事があるってさ。 本町通りの鳥川交差点角に、横田商事の社宅があったろ? ソコらしい 」


 いかがでしょうか。

 ナニも考えずに書き進めるだけなので、意外と楽です。(笑)



 次章、更なる創作に参ります。

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