第24話 まだ諦めない ※リカード王子視点
「クソッ、クソッ、クソッ!」
パーティー会場から飛び出し、馬車に乗り込む。後ろからついてきたアイツの妹も一緒に馬車に乗り込んだ。そして、俺をなだめる。
「大丈夫です。だから落ち着いて下さい、リカード様!」
「……すまない、メイヤ。ありがとう」
「どういたしまして!」
その言葉と明るい笑顔の彼女を見ていると、なんとか落ち着くことが出来た。
残念ながら、婚約者だった彼女を後悔させようとして行った作戦は大失敗だった。むしろ、相手の罠にかかってしまい、こちらが被害を受けた。一部の貴族達の信用を失った。それが、とても腹立たしい。
最近、俺の事をずっと避けていたのは、今回のために証拠を集めていたのだろう。俺を自由に泳がせて、こそこそ隠れて記録に残していたのか。
奴は、見たことない魔法で記録していたらしい。彼女の魔法は脅威だった。あんな光景を記録に残せるなんて、ズルすぎるだろう。こちらが圧倒的に不利じゃないか。
ナディーンは、あの魔法の力が厄介だった。今までは、俺の役に立っていたのに。
そうか。最近、魔法の研究結果を提出してこないのも、このためだったのだろう。彼女はいつから、今日のために準備してきたのか。全て、アイツの手のひらの上だと考えると、本当に腹が立つ。
「あれは、お姉様が悪いですわ! いきなり、あんな物を皆の目の前に晒すなんて」
「お前も、そう思うか?」
「もちろんです! 多分、自分の魔法の腕がスゴイって、自慢しているんですよ!」
「そうだな」
俺の代わりに怒ってくれるメイヤを見ていると、少しだけ気が晴れた。焦ることはない。まだまだ、やれることがあるはずだ。
今回の件で、彼女の本性を知ることが出来たのは良かった。あんな女と結婚して、共に過ごすなんて最悪だろう。婚約破棄することが出来たから、良しとする。
仲良くしていた女性たちは、残念ながら諦めるしかないか。それよりも、生き残ることを考えないといけないよな。なんとか話し合って、反撃の準備を整えよう。
「メイヤは、俺の味方になってくれるかい?」
「もちろんです! 私はお姉様と違って、リカード様を裏切りません!」
「ありがとう。とても心強いよ」
メイヤは、味方だと言ってくれた。アイツの身内が、こちらに付いてくれている。ならば、色々と出来そうだ。
どうにかして、今回の件をナディーンに仕返しする。絶対に許さない。
俺は、彼女を貶めるための計画を真剣に考え始めた。次は油断しない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます