25.か弱い人がか弱い者を演じる



 それから俺は、あの時に聞き始めた『この人殺しッ!!』からの状況を覚えてる限り鮮明に話をした。


「良かった、彼等が話していた内容とほぼ一緒で僕も安心したよ」


「五島さんの仕事が増えないのなら、証人になったかいがあるってもんですねっ」


「これはそれ相応の、お返しをせねばな。どういったお返しをしようかな……」


「そうですね。では一つ相談というか、色々教えてほしいのですが良いですか?」


「なんだね、俺の仕事を減らしてくれたんだ。機密情報とかではない限りは、教えるよ」


「実はですね、俺は彼女、望奈さんを守りたいなって思ってるんですけど、その。このステータス? にある職業って、いっぱいあるじゃないですか。それでそれぞれの効果とか、おすすめを教えてもらえたらなぁ~って思いまして」


 俺は責任とらんからな、最初に彼女設定を使ったのは望奈さんだ。まぁ言い方的に俺が好意を抱いてるとか、思われて終わるかもしれんが、別に恋人と疑われても、監視されていたのなら、結局すでに恋人と思われてるだろうよ。


 そしてこれだけの自衛隊員が居てモンスターと戦ってるんだ、いろんな職業や情報をもっているに違いない。それを聞き出し俺の第二職業を何にするかを手伝ってもらう。


「ほぉ、そうだよな、男として好きな女性は守りたいもんな、良いだろ俺がその相談に乗ってやるッ、大船に乗ったつもりでいてくれたまえ」


「ありがとうございます!」


 よし、後はさりげなく情報を引き出そう。





 その後俺は、五島さんから可能な限り情報を引き出し続けた。好きな女性を守りたい男性を全力で演じながら。


 そして俺が気になっていた職業の、スキルや上昇するステータスなどを聞いた。


 てかその過程の雑談話で、自衛隊という職業を教えてもらったが、これまた何ともチートな。最初期にSTR・VIT・AGI・DEXの内2つを設定として選択するらしいのだが、選択したニつは、自衛隊の職業レベルが上がる毎に2ずつ上昇する。つまりは1Lvの毎にステータスが合計で4も伸びることになる。


 俺の魔士や遠士は、ステータスの上昇値が合計で3である事を考えると、4というのは強力だ。しかも上昇させたい項目を最初期で選べるのが更に強いと思う所だ。


 その代わりスキルは無いらしいが、自衛隊は元々銃など強力な武器を持ってるし、近接戦闘も出来るから総合的に考えたらまさにチートだと思う。


 次に冒険者という職業を選んだ人が居たらしく、職業恩恵で伸びるステータスは無いが、代わりにSPが2もらえるらしい。つまり自由な項目に追加で振ってくれって感じらしい。


 そして+2だけなら伸ばしたい項目が一つとかなら、他の職業を選んだ方が絶対的にプラスになるので変えようとしたら、選べる職業の中に【採取士】【解体士】などが増えてた事を発見出来たそうで、まだ他にも隠された事を探るべく今後に期待しているそうだ。


 そして逃げてきた避難民の中には【無職】や【ニート】【引き籠もり】に可能性があああぁぁとか、言って選んでる人も居るらしいのだが、今の所ステータス上昇もスキルも全く役に立たず。自力でレベルを上げる事も、出来そうにない為に詰んでるそうだ。


(選ばなくてよかったぁぁぁ) 





 そして五島さんは今の所全ての人にある初期職業の効果を教えてくれた、元々いくつか知ってるが、知ってるのでそれは良いですなんて言えず全て聞いた。



・【戦士】STR+2・VIT+1 「パワーアタック」

・【堅士】VIT+2・STR+1 「ガードスタンス」

・【軽士】AGI+2・DEX+1 「スピードキック」

・【遠士】DEX+2・AGI+1 「キックアウェイ」

・【魔士】INT+2・RES+1 「マジックアロー」

・【護士】RES+2・INT+1 「マジックバリア」

・【技士】DEX+4



 スピードキックとか名前的に色々気になるんだけど、てか。


「技士はスキル無いんですか?」


「あぁ、無いらしくてな、だから冒険者みたいに他の職業が出ているかと思ったら、そんな事もないらしくて、ポイントが手に入ったら、さっさと変えるって選んでしまった仲間は言っていたよ」


 そうなのか、技士は何もないのか。


「ありがとうございます、それで俺は望奈さんを守ったりするなら【護士】のマジックバリアとか、良さそうだなって思ってるんですけど、これってどんなスキルなんですか?」


「マジックバリアか。そのスキルは、手の平から薄い半透明な魔力の壁を出せる、と言ってもその大きさはA5程の大きさしか無いらしくてな。使い勝手が難しそうに戦ってたのを見てたよ。それよりもやっぱり戦士で前に出て戦った方が安定もするし、カッコいいと勧めたいが、銃を持たすわけにもいかんし格闘技の経験もないだろう君が、いきなり前に出て戦うのを勧めるに勧めきれないんだよな」


 その通りです、自慢じゃないですが喜んで前衛をやりたがる程の身体能力は既存でありませんので遠慮します。


「ちょっと前に出て戦うのは……」


「なら魔士を選んで、後ろから攻撃したら良い。あれのマジックアローというスキルなら、ゴブリン相手なら援護ぐらいにはなる筈だ。だけどマジックアローのスキルだけで倒そうとした自衛隊員も居たんだが、最初のステータスの威力だと無理らしくてな、一人で一匹も倒せ無いんじゃ守れないかもしれない」


「やはり護士ってのを選んで、器用にバリアを使いこなす方が、良さそうな気がしてきました」


(本当は魔士を選ばされて、試しに一発撃ってみろよと言われた時に言い訳が出来ないからです)


「そうか、そうだな、うん。千田くんがそう決めたのなら俺は止めないさ、男として死ぬ気で彼女を守るんだぞッ」


「はいっ! 精一杯頑張る所存でありますッ」


 ピシっと敬礼してお互いに笑い合う。


 それからも数分は五島さんとは謎に、雑談をするのだった。


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