死と復活
父が死んだ。
母とは離婚していて、所謂父子家庭だった。
男手で娘を育てるのは、大変だった筈、
父はどれだけ努力したのだろう。
私は悲しさで、壊れてしまいそうだった。
「死人を蘇らせるシャーマンが居る。」
その話しを友人から聞き、
シャーマンを探した。
何度も何度も騙された。
何度も何度も悲しみと怒りに涙した。
漸く、見つけた。
秋という名の90歳になる老婆だった。
「父を蘇らせてください。」
「お前の命が短くなるかも知れない、やめておけ。」
「かまいません。覚悟は出来ています。」
数日後、名前と写真を届けろと連絡が来た。
私は勇という名前と父が一番好きだった写真を送った。
しばらく日が経ち、また騙されたかと思ったころ、「明日の夜、26時に。」と場所が記されたメールが来た。
私は、喜びと驚き、また死を操るというタブーに味わった事の無い感情で眠れなかった。
そして、日が上り、やがて夜の帳が下りる。
深夜2時、指定された場所は禁足地と言われる場所だった。
暗い暗い藪を分入ると、
少し開けた場所に出た。
「父さん、、、。」
自然と声が漏れ、手を合わせていた。
風がザワザワと草木を擦る
その音はしだいに激しくなる
怖くなり、辺りを見渡した。
視線の先に動く物がボンヤリ見える。
「?!」
父だった。
「父さん!!」
私は、叫んだ。
涙が、溢れる。
駆け寄り、父を抱きしめた。
父は私の顔に顔を擦りつけて言った。
「わん!、わわわん!」
「え???」
「あ!!」
「あの、ばばあ〜。勇はイサムって読むんだよ〜!くそー!。抱き合わせかよ!」
「間違えたかも、しれんな。」
秋の手の写真は、満面の笑みの男性がyouという首輪を付けたポメラニアンを抱いていた。
異世界の『異』は異形の『異』 朱鷺 @kakuhitoki
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