第101話 魔剣臨解!
『呼んだか? 魔剣の主よ?』
「ああ、僕は以前の問いに答えを出したい、もう一度問うて欲しい! そして女神をも倒す力が欲しい!」
視界が歪み、漆黒の世界に、一人の男がいる、魔剣の魂『常闇』だ。彼はニヤリと笑うと、僕に問うた。
『では問う、世界がなぜ実在しないよりも、むしろ実在するのか? 問いに応えろ?』
「あらゆることには原因がある。だから世界が存在することにも原因がある。それは唯の自然現象の偶然の産物に過ぎない、女神があったから世界があったのではない。女神も単なる人と同じ自然現象!」
『では自然現象たる女神が世界を作ったのなら、なぜ苦しみがあるのか? どう考えるか?』
「何故女神は魔王なんて作ったのか? 世界は女神が作ったのに…。人には善人として生きろと言っておいて、その癖、ズルい人間や卑怯な人間が得をする…。何故なら女神は悪人だからだ! 人を天使や悪魔を使って苦しめ、ただ、愉悦に入って楽しむ、人の敵だ!」
『その通りだ。すなわち、上なるもの、下なるもの、先なるもの、後なるもの…女神の言う事には嘘がある。世界はそんなまやかしで出来ておる。理解したのなら、もう一度問う、何故力が欲しいか?』
「女神が人間の敵なら、女神を倒し、人間が自分で勝利を勝ち取るしかないんだ! 僕は仲間を! 人間を助けたい、だから力が欲しい!!」
『十分だ…人はかくも進化するものか? これが無限の種…いいだろう、世界に戻ったら、魔剣臨解と叫べ、さすれば貴様に更なる力を授けよう。魔剣の力が完全に解放されるだろう』
「ありがとうございます。僕には他に選択肢がない。例え地獄に堕ちたとしても僕は仲間を助けます!」
『魔剣が臨解したら、貴様のステータス、スキルの効果は更に100倍になる。仲間と共にあれば、女神といえど怖くはない、お前の父、サタンの息子への手土産だ』
魔剣『常闇』 がそう言うと、漆黒の世界が解けて、元の場所へ戻った。僕はすぐさま叫んだ。
「魔剣臨解!!」
「な…に?」
女神は驚く、突然、僕の放つ瘴気が爆発的に増えて行った。それは女神の放つ聖なる気をも圧倒する!
『常闇』の言う通りなら僕のステータスの威力が更に100倍、そして僕のユニークスキル『パーティステータス100倍』スキルの効果も更に100倍になる、つまり僕もみなも10000倍のステータスになる筈。
「みな、女神を倒す!! 今の僕達ならできる筈だ!」
「き、貴様らたわけた事を! 女神である私を滅ぼすと? 神殺しをすると? 世界は消えてなくなってしまうぞ!」
僕は女神に問うた。
「では、あなたは何故善人ではないのですか? 全知全能にして善なるものというのが本当なら、あなたは何故魔王を作り、悪人を作り、善人を苦しめるのですか? 天使や悪魔のお父さんやお母さんは言った! あなたは唯の物理現象に過ぎないと! ならば、あなたを滅ぼしても、世界は何も変わらない!」
「何をたわけた事を…。創造主に向かい、不敬だろうが!! な、何!?」
ヒルデの剣が女神を襲う。
「勇者が、女神に逆らうのだと!」
「ヒルデはいつもアルの味方よぉ! 仲間よ!」
「そうだ! 女神! いつまでも人間があなたを妄信するだけの存在だと思わない事だ! あなたはかつて、こう言った『人間に勇者を与えたのは、人が勇気を愛するから。あなたが人を愛するのは、人の勇気が女神であるあなたの想像を超えるから』……あなたはかつてそう言った」
悪魔サタン、いや僕のお父さんがそう言った。人の勇気が女神の想像を超える。ならば、人が女神を越える事もあるという事! だが、女神はかつて、人を愛していた?
しかし、今は考えている時間はない。
「さあ、僕達を翻弄し、弄んでくれたな! 借りを返してやる!!」
「女神!! 覚悟!」
「下僕…成長したわね、これも日頃の調教の賜物かしら?」
「素敵…お兄ちゃん!」
「キャピーン☆ 先輩! ナディヤはどこまでもついていきます!」
「流石主様…。ああ、何時でも召し上がって下さい!」
ううっ、しまった。僕が格好つけて言った言葉に、みなが頬を赤らめて反応する。外ずらがいいのって苦労するな。何で僕は今更評価上げているんだろう? でも、心強い!
これから始まる女神との戦に、僕は勝つ事ができるだろうか?
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