アリアの提案 1
その少女はミクリと瓜二つ。
「え!? え!?」
あまりにも唐突に現れた存在に、思わず交互に何度も両者の顔を見比べるアズサ。
少女はガッカリしたように大げさな振舞いを見せます。
「はあ……。初対面ではないというのにそんなに驚かれるなんて……。私はとっても悲しいです。シクシク」
「あのう……貴方は……?」
「まあ、良いでしょう。かくかくしかじかです」
トゥルン☆彡
軽快な音が鳴ると同時にアズサの脳内に直接、様々な情報が流れ込んできます――。
少女の名はアリア。
元はカグラザカ家でメイド長の座についていたが殉職。
その後ミクリの身体へ心臓を移植され、その影響で魂が乗り移り現在に至る事。
時折、ミクリの分身として外に出ていて何度もアズサと接触している事。
それから現在の状況について……。
ミクリは連れ去られたカレンの行方を追っていたが、
その相手は複数犯でカグラザカの内部事情に詳しく、内1人はミクリでも見抜けなかった程完璧にアズサに
全てを理解したアズサは複雑そうな顔をします。
「え、ヤダぁ。何このなんか一方的に分からせられてる感じ……」
「私は常にミクリの心を尊重したいと思っています。今の
「な、なるほど。まだ腑に落ちない所もありますがお陰で助かりました」
「それで貴方はどうしてここに……?」
アリアが疑問を投げかけると。
「私はユイから連絡を受けて……ミクリの搬送先に駆け付けたら、それがここだったとう状況で……」
「ユイ……?」
「あ、ほらあそこに」
アズサが指差す先、ミクリが寝ていたベッドの上にちょこんと小さなお人形が寝ています。
あの時、ミクリがザイゼン達をその場に残して飛び立つ寸前――。
ザイゼンは朦朧とした意識の中でユイをミクリの服に忍ばせたのです。
30分おきに自動で背中のゼンマイ装置が巻かれるという改造を施して……。
その後、目を覚ましたユイはミクリが重体に陥っている状況を察知して救急車を呼んだという訳です。
「そうですか……。彼女なかなか優秀ですね。サーヤも気づいている節があったので引き入れるのも時間の問題になりそうです。さてと……」
アリアはミクリの懐から携帯端末を取り出すと、どこかへ電話を掛けました。
「こちらアリア。…………ええ、分かっていますよ坊ちゃん。だからこそ一つ提案をしたく、こうしてお電話したのですから」
その相手は旦那様だったのです。
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