怪しい絵画展 3
不敵な笑みを浮かべるミクリ。
その姿にアカネは。
「どうしたのミクリちゃん……? あ、分かった! ようやく私の作品になる決心がついたのね」
「作品? 笑わせる。貴様の絵は
ミクリの両手足を縛る鎖が細切れになります。
拘束が解けてすぐさま銃弾を放つミクリ。
「ちっ! 鉄鎖連結!」
またしても鎖の壁で防がれてしまいます。
壁を形成していた鎖の網がほどけて、再びアカネの視界にミクリが現れました。
「さあ、鎖よ! 再びあの可愛いメイドちゃんを縛り上げなさい! 鉄鎖緊結!」
無数の鎖がミクリへ迫って伸びていきます。
しかし――。
「な!?」
思わずアカネは取り乱します。
その鎖はミクリの身体を捉えることなく彼女をすり抜けたからです。
「悪いけどハッタリは私の専売特許なの」
アカネの背後から聞こえてくる声。
振り返るとそこにはミクリの姿。
「いつの間に!?」
すぐさま鎖をそちらへ向けて放ちます。
でもそれはまたしてもミクリの身体をすり抜けていきます。
今度は右側からミクリの声。
「お嬢様はキャンバスと一体化した訳ではなかった……」
さらに左。
「シグサリ アカネ、あなたの作品とやらはそもそも絵ですらない。そう、これは絵に見立てた映像」
そして前方。
「これは転移の魔法陣が組み込まれたモニター。お嬢様はキャンバスに閉じ込められたのではなく、別の場所に転移されただけだった」
気付けばアカネの周囲を複数のミクリが取り囲んでいました。
「ミクリちゃん流石ね……ご名答。あなたの言う通り、これは魔法が組み込まれたモニター映像よ。超スロー再生で絵に見立てていたの」
それでもなお、アカネは余裕の態度を見せました。
「へー、ミクリちゃんってそんな魔法も使えたんだ。それって影分身ってやつよね。でもね……それだって所詮はハッタリ。真実は一つに過ぎない! よってお前も一人に過ぎない! 鉄鎖爆発!」
ミクリの分身をすり抜けていた鎖が一斉に爆発すると、分身が全て消え去りました。
と、同時に一人吐血するミクリ。
「がはあああっ!!」
爆発の範囲が大きく、分身に紛れていた本物のミクリにダメージが及んだのです。
「それが本物ね。可愛い顔が台無しじゃない。でも、もういいわ。お前は可愛げが無い……。小娘風情がこのシグサリ アカネを否定する事は許さないわ!」
床に膝をつくミクリへ再び迫る鎖。
その時、アカネの背後から声がします。
「貴様には二つの罪がある……」
「!?」
振り向いたアカネ。
「一つはメイド長の想いを踏みにじった事」
すぐ鼻の先に銃弾が迫ってきているのが見えました。
背後にもミクリがいたのです。
「鉄鎖連結!」
間一髪で銃弾を防ぎます。
その直後でした。
ドシュ!!
「ぎゃあぁあぁあぁあぁあ!!」
反対側にいるミクリが放った銃弾が、シグサリ アカネの脳天をぶち抜きました。
その場に倒れ伏すアカネ。
脳天に空いた風穴はすぐに塞がります。
どうやら無事に細胞再生が働いてくれたようです。
「「そして何よりカレンお嬢様を見せ物にした罪は重い。次は容赦しない」」
二人のミクリは銃口から噴き出す煙を息でふっとかき消しました。
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