ミクリの危険な闇バイト エピローグ

 試合の次の日。


 トウコと鉢合わせするとバツが悪いので、警戒しながらコソコソと屋敷を徘徊するミクリ。


 すると……。


「ミ~クリ!」


 背後から声を掛けられました。


 振り返ると、そこにいたのは……トウコです。


 ミクリはすぐさま逃げようとしますが。


「フリーズ!」


 トウコが使う拘束の魔法を食らって身体の自由を失いました。


 おもむろにミクリの正面へと回り込むトウコ。


 ミクリの頬に片手を添えると真っ直ぐな瞳で見つめます。


「ミクリちゃーん」


「な、なんでしょうか……?」


 そしてミクリの頬をつねります。


「私に何か言うべき事があるんじゃない?」


 さすがのミクリも観念したようで。


「……ごめんなさい、トウコお姉さま」


 昨日の失態を謝罪します。


「素直でよろしい」


 トウコはミクリに掛けた魔法を解除すると、すぐさま肩へ手を回しました。


「それじゃあミクリ、ケジメもついた所でまた大人の話をしようじゃないか」


「ええ!? まさかエッチなことですか!? やっぱり私をNTRネトラレ要員にしようと――」


「だからちげえよ! 実は私が監督兼GMをしているママさんバレーチームがあってね。最近は連敗続きだから……ミクリに魔法でちょちょいとね。ほら、分かるでしょう?」


「やります! 是非やらせて下さい!」


「そうかそうか。やってくれるかミクリ! それじゃあ早速特訓だ! いくぞミクリ―!」


「はい! お姉さま! どこまでも付いていきます!」


 二人は出かけていくのでした。




 因みに、昨日の試合についてはトウコが根回しを謀っていました。


 『イケーズ側は野球賭博に加担し、暴力団とも深く繋がっていた』


 という証拠をでっち上げて彼らのクリーンなイメージを失墜。


 その火消しを手伝う条件に試合の結果をドローに持ち込んだのです。


 有力者とやらのタワマン建設計画もおじゃんになりました。



 それからトウコ曰く、もしアニーズが試合で勝っていたら、もっと莫大なリターンが見込めたとのことですが……。


 彼女が一体何を考えていたのか……。


 今となっては闇の中です。


 トウコという人間は底が知れません。

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