◆ 24・騎士ミルカ・ヘルレヴィ(中) ◆
「罪人処理? 処理レベルでヤバかったの?」
「お嬢様、そんなズバッと普通聞きます? 知ってましたけど、あなたが悪役に選ばれたのってそういう無神経さが行き過ぎてるからと思いますよ?」
あんたも大概はっきり言うタイプじゃん。
言葉を飲み込み、別の言葉を選ぶ。
「あー……いや、冤罪とかもあるわけだし? すっごい小さな罪の場合も、だし? うん、そんな悪い人だったって断定する気はないのよ?」
彼女は「今更」と呟き、それでも大きく息を吐くと話し始めた。
「冤罪といえば冤罪。罪の有無でいえば有の方です。絡んだ事件に関しては早急な……彼による処理によって、ひっそりと幕を閉じました。まだ幼かった私は事件に絡んでなかったので、ミルカ・ヘルレヴィに引き取られたんです」
いや、ふんわりしすぎて全くわからない。
「騎士ヘルレヴィが叙勲を受けたのって随分昔の話よね? いつか知らないけど、その処理より前だったの?」
「その処理で、受けたんです」
「うわぁ……それだけでもグチャドロ感を勝手に感じたわ」
って、ちょっと待って!!!! なんでこのタイミングで、その微妙な養父の元に顔出し決めた?! 家族の仇なわけよね?! しかも今のミランダは悪魔化して強くなってるっ。100%復讐にやってきた系よね?! 今こそ、てヤツよね?!
背後には我が家のマークが入った馬車。
往来で立ち話している高価めドレスを着た娘と、粗末なワンピース姿の娘。
「うん、……ミランダ、待とう? ここで殺人が起きた場合のアレコレがさ、考えるまでもなくよ……犯罪者としてミルカ・ヘルレヴィのような騎士に首飛ばされる未来コースじゃない!?」
ミランダは胡乱な目で私を見る。
「お嬢様なら、実家の権力でどうとでもなるでしょう」
「いやいや、お父様は『いつも』家の為なら私も切り捨てていくから!!!!」
間違った認識を正すように大声を上げる。
同時に木戸が開いた。
建付けが悪いのか、ギギィと音まで届く。
ミルカの出現を想像し、慌ててミランダの前に飛び出る。
「落ち着くのよ、ミランダ! あんたは私の命を保障しなきゃいけないんだから!」
「お嬢様、……何か勘違いなさってませんか?」
叙勲騎士が殺された場面に佇むヨーク家の令嬢。政治的陰謀を疑われたくない父は、間違いなく私を見捨てる。あっという間に犯人に祭り上げられ断罪されるのだ。
全てが見えた気分である。
「死にたくないのよ!」
「ミルカには恩こそあれ、恨みなんてありませんよ」
マジか……っ、ミランダ……あんたって、デキた人間ね!!!!
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