◆ 13・天使の声(後) ◆
聞けば聞くほどわけがわからない。
エルロリスに今までの流れを説明させてみれば、なんと『私』になって生活していたらしい。その上、カエル王子としてルーファは周囲からも認められてしまっているという。
いやいや、見た目はともかく言動違ったりない? だってあの『俺様』ルーファと『ボク』なオドオド王子よ? 性格なんか似てるとこ全然ないだろうし。
「シャーロットのいうカエルは、ルフスじゃないの?」
エルロリスが首を傾げる。
そして心を読んだように呟く。
「じゃぁ、ルフスはどうして……」
待て待て、整理しようじゃないの?
1つ目、ルーファはこのアーラが好き。
2つ目、アーラと私は過去同じモノだった。
3つ目、ルーファは私のことはどうでもいい
4つ目、……。
うん、なんだろ、了解したわ。つまりアレよな? 『俺様チャーリーじゃねぇんだわ、アーラが良いんだわ』って話じゃないの? あの野郎……。
「待って待って、ルフスはそんな人じゃないよ! とってもイイ人なんだよ?」
「それは、あんたの勘違いね。大体、私にあの呪文を唱えさせたのはルーファなのよ?! どうなるか分かってたって可笑しくないわ。私をハメたのよ!」
「そ、そんな人じゃないよ!!」
エルロリスが叫ぶ。
驚いて見れば、彼女は涙をこぼす。
「そんな人じゃないよ……ルフスはとてもイイヒトだった、本当にイイヒトで、強くて……っ、優しくて! ……パートぅ、……ギェンメーロゥス……っ?」
後半は何を言っているのか分からない。彼女自身も自分の発言に首を傾げている。
「いや……あんたがめっちゃ好きなのはわかったけどさ」
「ねぇ、シャーロット、ギェンメーロゥスってなんだろう?」
分かるわけない。
ってか、そもそも天使の名前だけでも毎度わけがわからなくなるのに。大体、あんたらがエルキヤとエルディア作ったようなもんじゃん。神どっちよ?
あんたらの方が神じゃないの?
「それ、知ってる気がする」
「でしょうね。あんた天使だもん。って……あんたも心読めるの!?」
彼女は口をモゴモゴさせる。
あ、いや……ダメなんじゃないの? こいつに名前を言わせたら……だって、人間には意味がなくて、私は天使だったから一回だけので、しかもこうなってて……。
エルロリスが唱えたら、あの天使のおっさんに私が殺害予告されるかも!!!!
慌てて彼女の口を塞ごうと手を伸ばす。
「ダ……っ」
一歩遅い。
彼女は名を紡ぐ。
「 【 エルシア 】 」
閃光。
鮮烈な光が周囲に走り、目を閉じる。
白む世界で、喧噪が聞こえる。
人の声?
違う、頭に直接……流れ込んで……?
世界が数度、瞬いた。
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