現実ターン〔3〕
今日もリハビリ頑張った~……
もうすぐ退院か……
明日もスパルタリハビリがあるから早めに寝るか。
この病院のTV料金高過ぎるから節約もしないと……
ぐぅ~…… が~・・・
よっ! 久しぶり俺!
よっ! 久しぶり俺の肺!
って、肺を直接見るの初めましてだから……
俺の夢に俺が現れたのには理由があるんだ。
ややこしい……
難しいとは思うけど……
これから言うことは、起きた後少しでもいいから
思い出して実行してほしい!
そんな真剣に言われると……
でも、絶対は約束できないからな。
その病院の1009号室にタエという女の子が、
植物人間……寝たきりの状態でいるかもしれない。
かも?
タエのお母さんに会って、タエが現実世界で目を覚ますために、異世界で頑張っていることを伝えてくれ!
「初めましてタエです!毎日泣いているお母さんを少しでも安心させたいです!必ず帰ってくるから、私の好きなクマムンのぬいぐるみを枕の横に置いてって伝えてください!」
女の人の声? 女の子?
異世界ではボン!キュ!ボン!で、現実世界では
ハンドボール部の高校1年生だからよろしく。
ややこしい……
頑張って思い出すけど……
お母さんに伝えるから必ず帰ってきてね!
「はい!」
頼むぞ俺!
任せろ俺の肺!
でっ!聞きたいことが……
切除した肺のスペースが……
・・・はっ!
朝か~…… 寝た気がしない。
夢を見ていたような……
深呼吸~…… フ~……
痛たたた…… 肺取ったとこの傷が痛い!
肺…… ?
俺の肺!
タエさん!
1007号室…… 1008号室…… 1009号室…… ここか!
でも、いきなり訪ねて大丈夫かな……
ガチャ……
あっ!おはようございます。
「あら?どちら様ですか?」
こちらはタエさんの病室ですか?
「タエのお知り合いの方でしたか……
お話しできる状態ではないのでごめんなさいね」
お母様にお話ししたいことがありまして……
少しお時間いただけませんか?
「今ですか?」
お願いします!
「分かりました…… あちらの休憩スペースへ」
……
信じてもらえないかもしれませんが、
今タエさんは、私の切除された肺と異世界にいます。
ポカーン……
「冗談はやめてください!今タエは寝たきりで意識がない状態なんですよ!」
タエさんは、高校1年でハンドボール部、クマムンのぬいぐるみが大好きな女の子ですよね?
「クマムンのぬいぐるみ…… 恥ずかしいから秘密にしてって……」
お母さんが毎日泣いてるから安心させたいそうです。
「え……」
必ず帰ってくるから、私の好きなクマムンのぬいぐるみを枕の横に置いてほしいと言ってましたよ……
「毎日毎日…… タエが何を思っているのか……何を望んでいるのか…… 何もしてあげれない…… グスン」
信じてあげてください!
「ありがとうございます…… 信じて待ちます!
あなたの肺が一緒なら寂しくないですね」
異世界では、タエさんセクシーな大人の女性みたいですよ……
「クスッ…… タエの夢でした」
私はもうすぐ退院ですが、何か力になれることが
あればここに連絡ください。
「分かりました…… 本当にありがとうございます」
…… 俺の肺、約束守ったぞ!お前も頑張れよ!
続く……
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