第152話 意外な結果




 慎二は朝に文化祭の出し物を決めると美波が言っていた為、今は既に教室に着いていて雄二達と出し物について話していた。


 今の時刻は8時15分、朝のホームルームまではあと20分程あるのでその間に決めてしまうのだろう。


 まだ、美波と優奈は教室にいなかったのでどうしたのかと慎二達は思っていたが。


 慎二は少しの好奇心で出し物について皆に聞いてみる事にした。


「雄二達はちゃんと出し物考えてきた?」

「当たり前だろ?昨日の光景を見ていて忘れてきた奴は大した奴だわ、それか頭がおかしい奴だな」

「ま、まぁそうだよね………」


 慎二の言葉に真っ先に反応した雄二が昨日の光景を思い出したのか少し身震いしていた。


 それは由紀や服部もそうなのか口々に「昨日は怖かった」や「死ぬかと思ったよ」と青い顔をして呟いていた。


(皆、流石に昨日のは怖かったよね……僕も普通に怖かったもん、というか西田君があの後どうなったかが一番の謎だよ)


 慎二も怖がりながら内心では西田の事を少し心配していると、今丁度村上が教室に入ってきた。


「よっ!前田達は何話してんだ?昨日の……吉野達の話か?……それか出し物についてか?」」


 村上は慎二達を見つけると普段通りの口調で話しかけてきた、流石に昨日で懲りたのか変な口調はしていない、でも吉野と口にする時に少し村上が身体を震わしたのは慎二は見逃さない。


 そんな村上の言葉に慎二が返事を返した。


「うん、出し物についてだね、後だけど吉野さん達の事は忘れた方が良いよ、昨日は何も見なかったと、ね………」


 慎二の言葉に村上を含む皆が「確かに」と頷いていた。


 それから、皆で少し話していたら、美波と優奈が教室のドアを開けて教室内に入ってきた。


 初めに美波が教室内を見渡し、自分達以外ちゃんと揃っている事を確認すると口を開いた。


「皆、おはよう!今日はしっかりと来れたようで偉いわ!」

「うんうん、しっかりと約束は守れて偉いよ〜」


 美波に続くように優奈も口を開きにこやかにしていた、その様子を見て慎二達は心の中で安堵をしていた。


(これでまた昨日みたいに怒られたら、それかあんな雰囲気になったら嫌だからね……)


 慎二は本当に心底安堵していた。


「と……出し物についてだったわね、皆はしっかりと選んできたかしら?」


 美波に聞かれた皆は………


『ちゃんと選びました!』

『三つでも俺選べた!』

『はっ、俺には簡単な事……些事だな』

『ばぶぅ……ばぅ、ぷぅー』


 と、我先にと答えていた。


 最後の奴に至っては一人だけ果敢にもふざけて赤ちゃんプレイをしている奴がいたが。


「まぁ、選んでこれたなら何も言わないわ……じゃあ今から時間もないし早く三つの中から一つを選ぶわよ!慎二は前に出てきなさい」


 美波はふざけていた奴の事は完全にガン無視で時間がないから進める為、慎二を呼んだ。


「分かった!」


 呼ばれたので渋ることなく慎二は前に出ると昨日と同じ板書訳をするのだった。


「じゃあ、今から昨日出た文化祭の出し物を決めるわよ、三つの候補を読み上げるから良かったものに一人一回挙手をしなさい」


 美波に言われた皆は『了解!』と答えていた。


 その様子を見た美波は早速候補を読み上げた。


「じゃあ、読み上げるわよ……候補1の喫茶店『2次元の集い』………‥‥」



 美波が読み上げる中、板書役の慎二は言われた事を黒板に書き写していった、生徒数は50名なのでどうなるかと思っていたら、結果は意外な形になった。


 因みに、慎二と美波は皆に聞く前に事前に自分達が入れたい出し物に数として入れている。



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   出し物の候補



【候補1・・・喫茶店『2次元の集い』】


 ・28票


【候補2・・・タピオカ屋『タピオカ始めました』】


 ・6票


【候補3・・・写真館『秘蔵の館』】


・16票


 

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 圧倒的に票数が多かった村上の案の【喫茶店『2次元の集い』】に決まった。


 因みに慎二もこちらを選んだ。


 慎二が選んだ理由は単純に「アニメのコスプレって楽しそう」と言う安直な考えだったが、他の皆も同じ気持ちの人が多かったのか喫茶店が選ばれた。


 ただし、一人自分の案が選ばれなくて不貞腐れている奴はいたが。


 その名は宮ノ内、だが彼も彼で「フッ、まあ良いさ、喫茶店と言うものも悪くはないだろう」とほざいているが。


 でも、決まったものは決まったので、美波が皆に伝えた。


「今決まったように、私達の出し物は【喫茶店『2次元の集い』】になったわ、後は放課後や授業の合間を使ってどんなものを出すのか、誰が何の役割をするかを決めるわよ!」

『おぉーー!!』


 美波の声にクラスメイトの皆は声高らかに返事をしていた、何かと「文化祭とか面倒臭い」とか思っていた連中も今はやる気に満ちている表情をしていた。



 備え付けの時計を見たら、もう、8時時35分近くになっていた為、今はお開きにして皆席に着き先生を待つ事にした。

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