第145話 文化祭は準備段階が何気に一番楽しい件について②



 が、その後に以外な事を言うのでそんなうざい態度を忘れるぐらい驚いた。


「何よアンタの親、タピオカ屋なんてやってるの?」

「あぁ、本当だぞ?嘘だと思うなら今度桜田高校駅前にある「ミヤテイァ」というタピオカ屋に行ってみるといい、俺の親が経営してるからな」

「ふーん?まぁ、機会があれば行ってみるわ」


 美波と宮ノ内はそんな話をしていた、そんな中、慎二は板書をしながらある事を思い出していた。


(………そう言えば、村上君と愛香達の遊び?デート?する時に駅前のタピオカ飲んだっけ……その時に店の名が今宮ノ内君が言った名前に似ていた様な……偶然かな?)


 過去の記憶を辿りながらどうだったか考えていた。


「あぁ、だからもしタピオカ屋を文化祭の出し物でやるんだったら俺が全面協力してやろう、機材も揃ってるし、材料もあるからな」

「分かったわ、ただ、まだ決まった訳じゃないからまたその時にね」

「分かってる」


 慎二が考えていたら美波と宮ノ内の話し合いは終わっていた。 


 因みに他のクラスメイトの反応は………


『タピオカ屋か……女子受け良さそうだな』

『でも作り方って簡単なのか?』

『それは……まぁ宮ノ内がなんとかするだろう』

『前田、お前のお尻イイなもっと俺に見せてくれよ』


 クラスメイトにも好評?なのか受け入れられてはいた。


 そんな中、慎二もしっかりと板書を済ませようとしたが………


(何か今変な言葉言ってる奴いなかった?僕の空耳?)


 そんな事を思ってしまい不思議がっていたが慎二は板書を済ませた。



【候補2・・・タピオカ屋『タピオカ始めました』】



 慎二は自分の書いた板書を見ると名前のセンスに自分が書いたのに感心していた。


「さてと……あと一個ぐらい案をあげるかしら、他に意見がある人……木村で」

「しっ!俺か……お化け屋敷……と言いたいところだが他の所と被っても面白みが無いからなぁ………写真館なんてどうだ?」


 雄二はニヤッと笑うと写真館と言ってきた。


 そんな雄二の案に美波も慎二もコレまた意外だと思っていた。


「写真館?それはどんな物を飾るの?」

「あぁ、写真館といってもただ飾るだけじゃない、秘蔵の写真とかを売ったりすればかなり儲かると思う、飾っている写真を良いと客が思ったなら売っても良いだろうな……それにこっちには「情報屋」それもカメラの腕はピカイチのハトケンが付いている、勿論俺達でも何か写真を撮って飾るのも良いだろう」


 雄二はそんな事を長々と話していた。


 でも何故か慎二には雄二の言葉の数々に何か違う意味があると感じ、美波よりも先に口を開く事にした。


「雄二、それって「文化祭なんて面倒臭いから写真でも飾ろうぜ、それに写真が売れたら一石二鳥」……とか考えている訳じゃないよね?」


 慎二はありえないと思いながらも聞いてみたら……雄二はそんな慎二の言葉に「ヒュー」と口笛を吹くと。


「今慎二が言った通りだ、ぶっちゃけ文化祭って面倒臭いからな、写真でも展示するだけで良いと思っている」

「………やっぱりね、でもハトケンはそれで良いのかな?」


 当たっているとは思っていなかったが自分の考えが正しかったので安心していた。


 が、「雄二が勝手に決めた訳であって服部は何も知らないのでは?」と思ったので服部を見てみたら……親指を上にしてサムズアップしている服部の姿があった。


(うん……ハトケンも了承済みなんだね………)


 なら良いかと慎二は思うのだった。


『写真館か……良いんじゃね?サボれるし』

『だよな、それに服部が撮った秘蔵の写真集とかかなりレアだぞ?』

『アレだったり、コレの写真も……もしかしたらもしかするかもしれないぞ?』

『前田、文化祭は俺と回ろうな……そしてお尻を………』


 他のクラスメイトも服部の写真と聞きやる気を出していた、アレとかコレについては皆の想像に任せる。


 でも慎二はそれどころではなかった。


「おい!やっぱり誰かさっきから気持ち悪い事言ってる奴いるだろ!!誰なんだよ!?そして、僕のお尻をどうする気だよ!」

『………‥』


 慎二は我慢が出来ず叫んで誰なのか問いかけたが……クラスメイトの皆は「しーん………」となり誰も答えなかった。


「………もう良いよ……でもそんな奴と文化祭なんて回らないからね!絶対!!」


 慎二はその誰かもわからない人物に言うと……後ろの席から「ガタッ!」と椅子の足が動く音が聞こえた。


 もしかしたらその人物が動揺したのかもしれない。


(本当に誰だよ……今の一瞬じゃあ誰なのか分からなかったし「真実の目」でも使って確かめてやろうか………)


 ついに慎二は自分のアイデンティティである神様から貰った特殊な力の「真実の目」を使うか悩み出したが、こんな馬鹿げた事に使うのは勿体無いと思ったのか、さっきから見てくる美波に目線で「進めてくれ」と、伝えるのだった。


 美波は慎二の考えていた事を理解すると、雄二が言った写真館については特段否定はしなかった。


「まぁ、良いんじゃない?慎二、最後は今木村が言った通りの写真館で」

「おけ!」


【候補3・・・写真館『秘蔵の館』】



 美波が想定していた三つの出し物の候補が決まった瞬間だった。

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