5章 1年生 2学期編 スキャンダルは日常的に
第138話 プロローグ
◆
9月6日、長い夏休みも終わりを迎えて既に何処の学校も授業が通常通りなら始まっている時期だろう、それは慎二達が通っている桜田高校も一緒だった。
高校生活2学期目にもなれば学校生活にも慣れ、やる気を出していくかとなるかもしれないがこの1年「F」クラスはそんな事が起きるわけもなく………
休みボケがどの生徒も抜け切れていないのか態度が悪かったり、夏休みの宿題を忘れたなどで1年「F」クラスの殆どの生徒が担任の剛田先生からお叱りの言葉をもらっていた。
………ごめん少し訂正、態度も悪いのも宿題を忘れるのもこの「F」クラスでは日常茶飯事だったわ。
まぁ、そんなことがあり今も尚夏休みの宿題をやって来ていない生徒達は教壇の近くに集められ、剛田先生からお叱りの言葉をもらっていた。
「夏休みが明けてから6日も経ってるんだから宿題ぐらいやれよ」と言いたいと思うが、このクラスに常識は通用しないので悪しからず。
「貴様らと来たら……2日前にもあれ程宿題をやってこいと言っただろうが!!」
剛田先生も最初は「F」クラスだからしょうがないと思ったのか2日間の猶予をあげていたが、誰一人として宿題をやってこなかった為ブチ切れていた。
そんな事があったなら怒るのも無理はないだろう、それも反省の色がないなら尚更だ。
一応言っておくとその怒られている中には慎二は入っていない、今は皆が怒られているのを良い事に机の下にスマホを隠してゲームをしていた。
怒られていない他の生徒も大体そんな感じだ、というか怒られていない生徒は慎二・美波・優奈・雄二・由紀の5人だけだった、服部も村上も例に漏れず今絶賛怒られている。
剛田先生は怒っていたが、全く聞く気を持たない生徒達にムキになって怒るのも時間の無駄だと思ったのかため息を吐いていた。
「はぁ……お前らは……一度席に着け」
剛田先生は教卓の前に集まっている生徒に席に着けと言った。
瞬間これ以上怒られないと察した皆は瞬時に自分の席に戻った、その光景を見ながらも剛田先生はまたも「はぁ、こいつらは」と、ため息をつくのだった。
「そういう時だけはお前らは早いな……まぁ良い、それよりももう9月だぞ?前田以外は分かるだろこの後に何があるのか………」
前田と言われ慎二が反応すると思ったがスマホのゲームに集中していて全く聴いていなかった。
そんな慎二の変わりに他の男子生徒が剛田先生の言葉に答えた。
「えっと……例年通りなら9月14日から清涼祭……文化祭が始まるはず……ですよね?」
その男子生徒もうろ覚えなのか剛田先生に伝えていた、聞いた剛田先生はその言葉に頷いた。
「うむその通りだ、もう時期清涼祭、ここ桜田高校の文化祭が始まる」
「………ほっ……良かった……あってて」
自分が答えた事があっていたので心底ホッとしていた、そんな男子生徒と入れ替わる様に剛田先生は話だした。
「だから何をやるのかクラスで一つ決めなくてはいけない、それはうちのクラスも一緒だから夏休みの宿題と並行で文化祭で何をやるのか決める事、最低でも今日か明日には決めて俺の所まで何をやるのか伝えに来い……それが出来なかったら……分かっているな?」
その剛田先生の迫力ある言葉に流石の「F」クラスの皆でも「は、はーい」と答えざる得なかった。
そんな生徒達の反応を見た剛田先生は返事をしたならやるだろと思う事にして「では、ホームルームを終わりにする」と言うと教室を後にするのだった。
暫し静寂になる教室内……剛田先生の気配が完全に消えた事が分かるとあちらこちらで話し声が聞こえ始めた。
「あのゴリ調子に乗りやがって」や「檻に戻すぞ」なんていう愚痴も聞こえれば、「文化祭何する?」や「お前が決めろよ」なんて言う声もチラホラ聞こえる。
剛田先生からも出た通りここ桜田高校では毎年9月に清涼祭……他の学校では文化祭だが、その清涼祭を2日間に渡り開催する事になっている、1日目は生徒だけだが、2日目は一般の人も参加出来る様になっている、ただ毎年色々な人が来る為、風紀委員や生徒会達が協力をして警備を強化している。
皆は9月……また、秋と言ったら何を思い浮かべる?今出た通り文化祭?それとも食欲の秋や読書の秋と言う言葉がある通り、旬の食べ物や読書又は紅葉なんて思い浮かべるかもしれない……でもこの男、前田慎二は違う。
食欲の秋?読書の秋?それとも……勿論決まっている、慎二が答える秋と言ったら……課金の秋だ。
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