第139話 課金をする時は計画的に



 さっきからスマホでゲームをやっていた慎二だったが、それはお馴染み「アイドルプロジェクト」というアプリを課金をしていたからだ。


 皆もスマホのゲームをやった事がある人なら知っているだろう、通称ソシャゲと呼ばれるスマホで遊べるゲームアプリはプレイするだけなら無料だが、その中にも課金と呼ばれるコンテンツがある。


 それはキャラを当てる為にガチャを回す為だったり、課金しないと手に入らないアイテムを入手する為など豊富だ。


 そんな中、慎二もガチャに囚われた1プレイヤーでもあり課金者でもある、そんな慎二の課金の結果は………


「はい!クソッー!!」


 いきなり慎二は立ち上がると自分の机にスマホを投げつけて大声を上げた。


 その事に他のクラスメイト達は「なんだなんだ?また前田が何かやらかしたか?」と慎二の元に集まり出していたがそんなものに慎二は目にすら入っていなかった。


 それよりも今さっきまでやっていたガチャの結果の方が重要だった。


 結果から言う……完全敗北だった、人にもよるがガチャをするというのは必ず勝ち組と負け組が存在する、勝ち組は自分で貯めた無償分の石(無課金の石)や課金をしても野口さんや樋口さんで当たる人達がいる、逆に負け組は福沢さんを何体投入しても出ない事なんてザラだ、そんな時皆は声を合わせて「爆死乙w」という。


 それが今の慎二の状態だった。


 勿論ガチャを回すのも課金をするのも最終的には自分の意思で決まる事なので誰が悪いと言ったら……まぁその人が悪いのだろう、だが、だがだ、慎二は課金をしながら常日頃から思っていることがある、それは………


(天井を付けろ!?それに確率が絶対おかしいだろ!!課金者の身にもなれ!!やはりガチャは悪い文明!)


 という事を内心で思っていた、流石に教室の中で叫ぶのはまずいと思った慎二は心の中で叫ぶ事にしたようだが、それではこの気持ちを抑えられない様だ。


 勿論、今出た通り天井(〇〇連やれば必ずピックアップキャラ確定)という機能が付いているアプリもある、それは運営側が付けるか決める訳なので神のみぞ知る何とやらだ。


 それに確率がおかしいと言っていたが他の人が当たっている訳だから一概に確率がおかしいとは言えない……まぁ、例外であるアプリで昔○ッカン○ーブルというものがあり、アカウントにより絶対お目当のキャラが当たら無いという事があったが今はそんな事は無いと思うので気にしなくて良いだろう。


 ガチャは悪い文明というのは人それぞれだろう、そう言っている奴程課金をしている説が濃厚なので、まぁ、そもそもが「そんな多額の課金をしなければ良いんじゃ無いか?」と思う人もいるかもしれないがそれはナンセンスな答えだ。


 お菓子でもかっぱのえびせんという食べ物を食べた時に言うだろ?「やめられない〜とめられない〜」と、それと同じ事だ、課金者の殆どが同じ回答だと思うのだ、だから簡単に辞められない、それはもうギャンブルと同じ極地にきているのだ。


 じゃあ、そんなに課金をして何が得られるのかと言うと……ノーコメントで。


 まぁ、長々と話してしまったが、要するに慎二は負け組だと言う事だ、結局慎二が何円やったと言うと驚きの………


(10万やりましたが何か?)


 この様な多額の課金をしているのに慎二は開き直っていた。


 それも慎二がやっている「アイドルプロジェクト」というアプリはまだ天井の機能が付いていなく実際10万円をドブに捨てた事になる、これが本当の「何も成果は得られませんでした!!」状態だろう。


 多分大人だったりお金を持っている人だったら……「はっ!そんな端金で爆死とか語るな!!このカス!」と言うかもしれないが、今の慎二は学生であり、今回の課金で夏休みにアルバイトをしたお金を殆ど使ってしまったのだ、だから心中穏やかではいられなかった。


(ま…まぁ……10万ぐらい……いや10万円もあれば何が出来る?……何でも大体出来るじゃん………)


 心中穏やかではいられなかった慎二だが、少し冷静になって考えた慎二は何でそんなにお金を使ってしまったのかと後悔していた。


 でももう後悔した所で遅い……使ったお金は戻らないのだから。


でもそんな事を考えていたら、逆ギレと分かっているがふつふつと冷静になった感情が湧き出し慎二は怒りを露わにし出した。


(あぁーーーー……悔しい!やっぱり悔しい!!10万円、とて10万円……これほん怖に投稿出来るんじゃない?「はい、○郎さん!」ってもう○郎さんに伝えるしかないよ……いけるでしょ?タイトルは「消えた10万円」で……無理?……はぁ)


 もうそんなバカな事しか考える事が出来なくなったのか内心で考えると頭を抱えて机に蹲ってしまった。


 周りの皆は慎二の心情が分からなく困惑していたが……そんな慎二の元にある男が近付いて来た、机に投げ出されたスマホをその人物が見ると痛い所を突かれた。


「前田氏……そのスマホの画面を見て分かる通り「アイドルプロジェクト」で爆死でもしたのですかな?」

「ぐっ………」


 本心を突かれたからかその人物の言葉に机に蹲りながら慎二は呻いてしまった。


 ただその人物は馬鹿にする訳でもなく慎二に寄り添う様に喋り出した。


「まぁ、アプリなどそんなものですぞ、拙者もアプリに課金をしだしたのも最近ではありますが何度も爆死など体験してますぞ……次があると思えば、それに今回は縁がなかったと思えばまだ楽になれますぞ、だから元気を出して下され」

「………村上君……」

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