第128話 閑話 村上正吾育成計画③
「愛香かな?」
そう思い電話を出たら………
『もし?慎二今大丈夫?』
慎二が思っていた通り愛香からの着信だった。
「うん、大丈夫だよ?丁度僕も連絡来ないかなと思ってスマホ弄ってたとこだから。それで……日程とか決まったかな?」
『もち、しっかりと私の友達も了承してくれて明日のお昼に桜田高校駅前に集まる事になったわ、慎二の友達はどう?』
「僕の方も大丈夫だよ、さっき連絡を取り合ってね、ギャル対策も今してるみたい」
『なら良かった、それで明日慎二は来るの?』
そう聞かれたが自分の事を考えていなかった慎二はどうしようかと思ってしまった。
(別に僕も村上君と一緒に愛香の友達と会っても良いけど……それで後から村上君にお前がいたから彼女が出来なかったと言われても嫌だがらな……一応保険の為今回は遠くから様子見するかな)
頭の中で考えた慎二は愛香に自分は一応現場には行くけど遠くから見ているだけで接触はしない事を伝える事にした。
「一応僕は現場に行くけど遠くから見ているよ」
『ふーん?……私も慎二と遠くから見ているだけが良かったけど、私の友達を紹介する訳だからそういう訳にはいかないもんねぇ………』
「そうだね、だから出来たら明日は愛香に僕の友達のフォローをして欲しいんだ、出来るだけでいいから頼めないかな?」
慎二がそう聞くと少し間を開けて考えてる感じはしたけど直ぐに口を開いてくれた。
『………わかった。私の方でフォローするわ、その代わり今回の件も合わせて貸し2だからね?』
「分かってるよ、その代わり明日はよろしくね?僕の方でも友達に明日の事伝えとくよ。明日は待ち合わせの場所に着いたら愛香に連絡するね」
『おけ、明日楽しみにしてるわ』
慎二と愛香は明日の事を会話をすると通話を終えた。
慎二はそのまま愛香との通話を終えると村上に明日の事のメッセージを送った。
その後直ぐに村上から「分かった」と返事があったのでようやくひと段落ついた為慎二はその場でぐだーっとしていた。
「やっと落ち着いた……のかな?」
そう思った慎二はスマホの時計を見るともう21時を過ぎていた事に驚いた。
「もう21時じゃないか、チルとお風呂にでも入って明日に備えるか」
慎二はそう呟くと慎二の布団の中に潜っていたチルを優しく取り出した。
今までずっと慎二の布団の中で寝ていたのか目蓋が下がったままだったが。
「ほらチル、もうお風呂の時間だよ?まだ眠いかもしれないけど身体を綺麗にしてから寝ようね」
「………にゃー」
慎二がチルに話しかけると小さい鳴き声だが返事をしてくれた為、風呂場に行ってチルとお風呂に入る事にした。
勿論入る時は誰かが先に入っていないかは確認した。
一度千夏が入っているのを知らずに風呂場のドアを開けてしまった事がある慎二だからもう同じ過ちはしない。
慎二とチルは無事お風呂から上がると自室でも寛いでいた、後は寝るだけかと思っていたら村上から連絡が入った。
「………ん?何々?村上君から?」
もう村上とは明日の打ち合わせもした為、後何かあったかな?と思い通話に出たら。
『良かった、まだ寝てなかったか』
「まだ22時だよ?小学生じゃあるまいしこんな早くに流石に寝ないよ、それで?何かあったの?」
今の小学生でも普通に22時以降は起きていると聞くけど、それはまた別の話だ。
村上に聞いてみると。
『………それがな………』
村上はそう言うと何か深刻な事が起きたのか少し暗い声を出して押し黙ってしまった。
その事が気になった慎二は心配になり聞いてみた。
「何かあったの?何かあったなら聞くよ?」
『すまん……ちょっと言い難い事でな……その………聞いてくれるか?』
いや、ここで「聞く訳ねぇだろ!」なんて言えないでしょ。
「うん、聞くよ?」
『………そうか、聞いてくれるか。そのな?明日前田の友達のギャルと会うだろ?……それでな、明日会うと思うと……思うと………』
「………思うと?」
聞き返した慎二だったが。
『興奮して眠れないんだ……どうしたらいい?』
「知るか!!」
(いや、知らないわ!なんか暗い雰囲気出ていたからもっと深刻な事が起きてると思ったわ!何が興奮して眠れないだ、早よ寝ろや!)
そう思った慎二だったが今が夜ともあって心の中でシャウトした。
慎二が何か助けてくれると思っていたのか尚も村上は聞いて来た。
『何でだよ、俺が眠れないんだぞ?』
「だから、知らないよ。それは村上君の問題でしょ?……それに布団に横になれば時期眠るでしょ」
当然の事を言う慎二だが、村上は。
『駄目なんだ、試したがそれでも寝れないんだ……というかそもそも寝るってどうやるんだっけ?』
と、聞いてきた。
「それはさっき言ったように……おい…なんか僕もわからなくなってきたんだけど……」
『だろ?そもそも眠るって行為は俺にはよく分かんないんだよ……だってあれってただ目蓋を閉じているだけだろ?じゃあ結局寝ていないじゃないか?あれはただ自分が寝たと脳が感知して気絶しているだけだろ?なら、脳も体も起きている。意識だけが深層意識に落ちて寝たと錯覚しているだけだ。なら本当の寝る行為とはなんなのか?……なぁ、寝るってなんなんだ?』
「………‥」
と村上には珍しく長々と喋ってきた。
そんな中慎二は。
長いよ!それにもう途中から何を言っているのかわからなかったし、分かった事は眠るとはどうすれば良いのかだっけ?……僕だってもう分からないよ!
このまま村上の話を聞いていたら自分も本当に眠れなくなってくる可能性があった為、通話を終える事にしたが。
『おい、前田?何でさっきから無言なんだよ?俺に教えてくれよ!眠るって意味をさぁ!?』
「情緒不安定か!もう、僕も眠れなくなりそうだからそんな話ばかりするなら通話切るからね?」
『なっ!そこを何とか……!』
それでも食い下がってきた村上は慎二にこんな事を言ってきた。
『………もう眠れないならいっその事……俺と一緒に朝まで寝ないで夜をフィーバーしないか?』
「するかタコ!そんな事考えてないで寝ろ!」
慎二はついていけないと思い通話を切る事にした。
『ちょっ…前………』
村上は尚も何かを言おうとしていたが、慎二が通話をやめた為、そのまま切れてしまった。
その後も何度か村上が慎二に連絡をしてきていたが、面倒臭かった為着信を拒否してそのままチルと就寝した。
初めは慎二も眠れないのでは?と思っていたがチルを抱きしめていたら気付いていたら眠っていた。
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