第125話 エピローグ


「必要な犠牲だったそうでしょ、皆?」

「「「う……うん」」」


 皆は本当は止めたかったが、今逆らったら自分が次は食べさせられると思って怖かった為、村上が食べさせられている所を見ていることしか出来なかった。


 そんな中、村上というと………


「う…うぅ………」


 と呻いていた。


(………正直やり過ぎた感はあるけど、このぐらい村上君には罰を与えないとこれからもやりそうだからね………)


 そう思い、今回ばかりは反省してくれと思っていたが……さっきまで呻いていた村上が食べ終わったのか起き上がると。


「う…う……旨い!」


 そう叫んだ。


『旨いのかよ!』


 村上以外全員のツッコミが木霊した瞬間だった。


 さっきまでずっと呻いていたから完全に不味いからだと思っていたわ!


 慎二はそう思っていると、村上がいきなり食レポをしだして………


「マジで旨いぞ、これ!……表面の皮はパリパリで中はとろりと甘くてマジで絶品だぜ!」

「そんな食レポいらんわ!」


 慎二はツッコミを入れたが……いつも通りのバカな雰囲気になったからか………


「プッ!」


 と、誰かが笑ったと思ったら……いつもと同じ様に皆笑い出した。


「ブハッ!マジかよ村上、それが旨いとか、お前どうかしてるだろ!」

「本当だよ……そんな物食べて旨いとか……ふふっ………ははは!」

「村上君はこれから昆虫食しか食べちゃ駄目だからね……あはははっ!」


 皆笑いながら村上に言っていた。


「いや、本当に旨いんだって!今度皆で探しに行こうぜ?」

「「「誰が行くか!」」」


 そんな感じに盛り上がっていた、そのいつもの光景を見ていた慎二は。


(そうだよこういう雰囲気がいつもの僕達だもんね……悲しいは悲しい…でも、また会えると誓い合った…なら前を向こう……また渚さんといつか会った時に笑顔を向けられる様に)


 そう1人心の中で思った慎二は皆に声をかけた。


「さあ、皆帰る準備は出来てるね?桜田町に帰ろう、由比ヶ浜先生も待ってるからね」


 慎二のその言葉にふざけあっていた雄二達は返事を返してくれた。


『おう!』


 千夏が待っている車まで行き、皆で荷物を乗せていると遠くからバイクが近付いて来てる様な気がしたので、慎二が後ろを振り返るとそこには………


「おーい!皆ー!」


 バイクに乗りながら近くまで来るとその場で降りて、手を振っている哲也の姿があった。


 哲也が近くに来てる事に気付いた慎二は直ぐ様に向かった。


「哲兄来てくれたんですね!」

「おう、当たり前だろ?ちょっと人助をしていて遅くなっちまったが間に合って良かったわ!」


 哲也はそう言うと笑顔を向けてくれた、慎二と哲也が話していると雄二達も集まって来て。


「おうおう…皆勢揃いか……今日帰るんだもんなぁ、寂しいな。どうだった?この町は良かったか?」


 そう皆に聞いて来たが、その言葉に皆は………


『とても楽しかったです、また来ますね!!』


 そう声を揃えて伝えたのだ、その言葉に。


「そうか……なら良かったわ、慎二君達はこれからも人助をしていくと思うがこんなに仲間がいるんだ、助け合いながら頑張りな、俺も人助仲間として応援してるからな?」


 その言葉に慎二が答えた。


「はい、皆とこれからも力を合わせて頑張ります……それで哲兄とまた会えますかね?」

「ん?そりゃあ会えるだろ、別にそんなに距離は離れていないし、会おうと思えばいつでも会える……俺も桜田町に行く機会があれば顔を出すわ、その時は連絡するな?」

「わかりました!」


 慎二と哲也はそう話し合うと。


「じゃあ、またな皆!……そして慎二君」

「はい、また会いましょう」

「おう、近いうちに、な?」


 と言い、慎二と哲也は手をグーにして互いに押し当てた。


 その後は哲也と別れて皆で千夏の車に乗ったら宗一郎と琴がお別れの挨拶に来た。


「寂しくなるな、また来年でも良いから来てくれよ?」

「そうよ、別に冬休みでも良いわよ?」


 その言葉に千夏が。


「もう、お爺ちゃんとお婆ちゃんたら……でもまた皆で来るね!」

「おう、待ってる」

「待ってるわ、帰りも気を付けてね皆」


 話し合いが終わったので千夏は車を発進させた。


「皆また1時間近く車で揺れる事になるけど大丈夫?」


 その言葉に慎二達は。


『問題ありません』


 と答えた、その言葉を聞き慎二達を乗せた車は桜田町に向けて走り出した。


 この6日間は本当に色々な出来事があった、楽しかった事、悲しかった事と色々あったけど、慎二達はこの思い出を決して忘れないだろう、だってこんなにも楽しい夏の思い出が出来たのだから。


 今回の旅行がいつかバカ話が出来る様にこれからも前へ進んでいく。



 まだ、夏は始まったばかりだ、ここで歩みを止めてる場合じゃない、まだまだこれからも人生は長いのだから。


 それに、慎二にこの先生きる理由も見つかった、また渚と笑顔で再開する為にその為にはこれからも「徳」を沢山集めて人々を人助しようと心の中でそう思った。


「未来」を見た回数:6回 残り24回

「過去」を見た回数:3回 残り27回

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