第113話 集結そして助け合い①


 宗一郎達に早速連絡があったから今から出る事を伝えた慎二は外に出たら哲也がバイクに跨り既に慎二を待っていた。


「よっ!慎二君、昨日の今日で連絡が来たのはビックリしたけど頼りにしてくれてありがとな!」


 慎二が家から出て来たのに気付くと哲也は手を挙げて挨拶をして来た。


「こちらこそです!早速ですが哲兄、卯辰山公園までお願いしても良いですか?」

「任せとけ!慎二君の頼みだ、なんだって聞くさ。それに急ぎなんだろ?何となく雰囲気でわかるよ」


 慎二と一緒で今まで人助をやってたからかそういう事に敏感なのか、慎二に伝えてきた。


「そうです、哲兄と一緒で僕も今回は人助で動いてます」

「そうか慎二君も人助か、なら助けて欲しい人が待っているかもしれないから全速力で行くぞ!」

「はい!」


 慎二と哲也はそう話し合いバイクに乗ると卯辰山公園まで向かう事にした。





 今慎二達が向かっている卯辰山公園は金沢市街を一望する卯辰山山麓に広がる公園だ、数多い記念碑や文学碑もありそれ目当てに来る観光客もいるという、特筆すべきは望湖台からの眺望で、晴れた日には日本海が見えて夜景も美しく人気のスポットとなっている。


 そんな場所にタイムカプセルが埋められているというので慎二達は探しに来た、無事卯辰山公園に着いた慎二と哲也はバイクから降りるとある人物との待ち合わせ場所まで向かう事にした。


 待ち合わせ場所には慎二が呼んだ人物達とここ卯辰山公園を管理している役所の方が話し合っていたが、慎二達に気付くと一旦話をやめて挨拶して来た。


「やあ、慎二君、こうやって面として向かい合うのは久しぶりだね、元気にしてたかい?」

「勿論僕は元気ですよ!今回も手伝って頂くことを軽く承諾してくださってありがとうございます、鈴木さん!」


 慎二が連絡していた人物は以前色々とお世話になった鈴木だった、2人はあれからも友人として付き合いをしていた。


 あまり迷惑をかけたくはなかったがどうしても鈴木の力が必要だった為、今回の件を話したら軽く承諾してくれた。


 そんな鈴木は慎二がタイムカプセルを掘りたいと言っただけで意図をわかってくれた様で穴を掘る道具と作業者を手配してくれた。


「良いんだ、僕達は友人兼ビジネスパートナーみたいなものだからね、前に教えてもらった情報やスイーツの件ではかなり助かってるよ?それを無しにしても君を手伝う理由はあるけどね」


 鈴木は端正な顔を少し悪戯っぽくさせてウインクして来た。


「………本当に色々と助かります、それでそちらにいる方々が今回手伝って頂く方々ですか?」


 鈴木の後ろにとてもガタイのいい男性達がいたので聞いてみた。


「そうだよ、彼等らが今回手伝ってくれるよ、タイムカプセルを探すと言うから人数はいると思って30人程こちらで手配させてもらったよ、勿論道具も用意出来てるからいつでも作業を開始出来る……ですよね大瀬さんと皆さん?」


 鈴木が後ろの男性達にそう聞くと声を揃えて『おう!』と答えてくれた、その中から代表なのか大瀬と言われた1番ガタイのいい男性が出てくると慎二の前に来た。


「俺は今回の作業を手伝う事になっている代表の大瀬だ、君が鈴木さんから聞いていた慎二君か……うん、とても良い目をしている!君になら任せられる、力なら有り余ってるから十分活用させてくれよな!」


 いきなり筋肉ムキムキの男性に良い目をしているなんて言われたら誰でも驚くと思う。


「あ、ありがとうございます……今回は皆さんの力をお借ります、どうか一緒にタイムカプセルを探してください!」

「任せてくれ!お前らこの少年に恥じない様頑張るぞ、気を引き締めろよ!」

『おお!!』


 大瀬のその言葉でさっきよりも大きな声を張り上げていた。


「話は纏まったかな?……それでねこちらの男性がここ卯辰山公園を管理している橋田さんと言うよ、僕からも今回穴を掘る件の話は通したけど、その前に慎二君の知り合いから話が通ってたと言ってスムーズに話が出来たよ」

「こちらの方が……それに話を通したってもしかして、宗一郎さん?」


 慎二が呟くと60歳ぐらいに見える橋田という人物から話しかけられた。


「今鈴木さんから紹介された通り私がここ卯辰山公園を管理している橋田です、宗一郎から話は聞いてるよ、前田慎二と言う子が来るからその子の人助を手伝って欲しいとね」


 やっぱり宗一郎さんだった!


「ありがとうございます。それで、今回この公園内を穴を掘る予定ですが……その、迷惑になったりしないですか?」

「別に問題ないよ、彼はああ見えて人を見る目が良い、そんな彼が君の手伝いになりたいと電話越しだったけど頭を下げて来た様な気がしたよ、だから僕は君を信用するよ」

「ありがとうございます!」


 橋田の言葉に慎二はお礼と共に頭を下げた、スマホには連絡がまだ来てないが、しっかりと宗一郎は伝えといてくれたみたいだ、慎二がお礼の電話を千夏にかけようと思っていたら、哲也に話しかけられた。


「慎二君、俺の説明はしてくれないのか?」

「あっ…ごめんなさい……完全に宗一郎さん達に連絡を入れようとしていました」


 哲兄の事話すの忘れてた………


「いや、別に良いんだが俺も手伝うからな、一応自己紹介ぐらいするさ」


 哲也は慎二にそう言うとこの場にいる他の皆に向き直り自己紹介をした。


「皆さん俺は森下哲也と言います、慎二君とはこの町で出会って知り合いになりました、俺も手伝いますのでどうか宜しくお願いします!」


 哲也の自己紹介に皆手伝ってくれる人は多い方がいいと受け入れてくれた。

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